HYMN

PEOPLEText: Noriko Ishimizu

本格的に制作を始めた初期の段階から、アプロプリエーションを作品に取り入れていたのですか?

私の作品には図像を引用して使うものと、オリジナルでドローイングするものがあります。以前から興味はありましたが、サンプリングをいざ始めたのは、ここ最近ですね。サンプリングする作品もオリジナルドローイングを使った作品も、根本的にコンセプトは変わりません。


Adult Coloring (Blue Nude), 2018, Spray and Posca on Canvas, 1,000 × 803 mm

アプロプリエーションという手法に着目した経緯について教えてください。

高校生の時からアートが好きで、好きな作家は、リチャードプリンスなどのアプロプリエーションアートの作家が多く、その頃の影響が大きいです。作品が無から創造されているかといえば必ずしもそうではないし、むしろ既存のイメージをサンプリングしていくという事に、とても共感しました。
クラブミュージックカルチャーも好きで、音楽におけるサンプリングやカットアップなどの手法にも影響を受けました。


Adult Coloring (Miffy 01), 2018, Spray and Posca on Canvas, 455 × 380 mm

「Adult Coloring」で表現したいことは?

私のアートのキーワードは「遊び」と「セラピー」。塗り絵には、その両方が含まれていると思います。壁面にスプレーでラフに表現する“グラフィティ”の軽やかさに影響を受けて表現することで、ラフで自由な感覚を伝えたいです。
私にとって「感じること」は大切です。今ネットとリアルが同列にあって、バーチャルなものが現実に溶けている感じがします。ネットには図像やイメージが氾濫していて、いつも思考が伴います。それは「感じること」と対極だと実感しています。

これからアーティストとして挑戦したいことを教えて下さい。

プライベートの空間である個人宅の壁に描く機会があればやってみたいです。自宅にアート作品が飾られるような世の中になればいいと思っています。自分も飾りたいし、アートがストリートの壁だけではなく、日常的な部屋の壁にもあるといいと思います。

最後に今後の予定を聞かせてください。

2月9日(土)〜24日(日)に、原宿の THE _____ GALLERY(THE blank GALLERY)にてグループ展「EPIC PAINTERS Vol.5」を開催します。
3月2日(金)〜4月1日(月)まで、大阪/難波の H.P.DECO 好奇心の小部屋 2 にて個展「VIRTUAL WALL(仮)」を開催します。

Text: Noriko Ishimizu
Photos: Courtesy of the artist, © HYMN

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