阿部典英

PEOPLEText: Ayumi Yakura

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「阿部典英のすべて ー 工作少年、イメージの深海をゆく」2012年, 北海道立近代美術館

現在、クロスホテル札幌クラークギャラリー+SHIFTのコラボレーションで展示を行う「まちなかアート・クロス・エディション」の第21弾として、阿部典英個展「ア・ラ・カルト」を開催されています。ホテルの空間に合わせて作品を構成されたのは今回が初めてということですが、展示された平面作品について「立体も平面も同じように考えて制作している」と仰っていたのが印象的です。

僕は立体も作るし、絵画も描くし、版画、陶芸もすることがある。素材も、油絵の具やリキテックス、墨も使うし、自然の貝殻を組み合わせたり、タワシなどの既製品をメッキしたり、金属、木材の他にウレタンなど、いろいろな素材を組み合わせて作品を制作します。

いつも、自分の持っている技、引き出しから「どの方法でやったら一番、今の自分の心を表すことができるだろう?」と考えてチョイスするんです。美術家はいろいろな表現、つまり何でもできなければいけないと僕は思う。マティスだってそうだし、ドガも彫刻を作っているし。

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「春」「夏」「秋」「冬」2016, 1,030 x 728 mm, 木・和紙・アクリル絵具・合成樹脂・墨, 阿部典英個展「ア・ラ・カルト」2016年, クロスホテル札幌

「平面作品で表現できる様々な可能性」を追求して制作されたという新作も、千切って穴をあけた紙が貼付けられていたり、さまざまな素材や技法が組み合わされていますね。

今回のために制作した平面作品「春」「夏」「秋」「冬」は、すべて中心に墨を使っています。私たちが暮らしている北国には冬があり、非常に厳しい状態の中でモノクロームの世界になります。

そのイメージを中央に置いて、秋はその両側に紅葉、実りのイメージを配し、夏は木がドーンとあって、青々とした活気ある葉っぱのイメージ。春は融雪しておたまじゃくしが泳ぎ、蓮のような葉が浮いて、百花繚乱。本州であれば、まずは梅、次に桜、と順序良く咲く花が、北海道の場合は雪が溶けると一気に咲いて百花繚乱になりますからね。

一昨年に移住された、北海道小樽市朝里川温泉の自然からイメージされたのでしょうか?

以前は札幌の街に住んでいて、気温や雲の色は分かるけれど、やはりビル街ではダメだという気持ちがありました。「生活そのものから滲み出てくる」というのが僕の作品の原点だから。

自然というのは、一本の木を見ているだけでも色の変化があるし、山には山桜の実、桑の実があるし、我が家の裏には朝里川が流れていてアメマスやヤマメが釣れる。海もすぐ側。夏みかんの木を植えたらキアゲハが孵化したし、カミキリムシ、カナヘビ、ヘビも居る。今はこういう生活。自然がいろいろな事を教えてくれる。独学でやろうとした僕の先生かもしれない。モチーフやフォルムや考えが、自然の中にたくさんあるのです。

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