一原有徳展「多面体 地球の部品掌の中にあり」

HAPPENINGText: Mariko Takei

今年100才を迎える版画家・一原有徳(いちはら・ありのり)の作品には、そんな非現実的な風景が広がっている。1910年生まれ、小樽在住の版画家、一原有徳の個展「一原有徳・多面体 地球の部品掌の中にあり」が、6月20日まで北海道立近代美術館の「これくしょん・ぎゃらりい」にて開催された。

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《HMMA》(2001年) 「一原有徳・多面体 地球の部品掌の中にあり」展 会場風景 / 北海道立近代美術館

10代半ばで俳句に、20代はじめで登山に、そして40代おわりで版画に出会うことで、多面的な創作活動を行ってきた一原氏の作品が多数展示されると共に、これまでの長きに渡る制作の軌跡を伺うことができる展示となった。

一原氏が最初に取り組んだ版画は、一度だけ刷ることのできるモノタイプと呼ばれるもの。役所に勤務しながら、すでに俳人、登山家として広く知られていた一原氏が、油絵を描くようになったのが40才頃。そんなある時、偶然発見した、石版石の上にあらわれたパレットナイフの痕跡から発想を得て、その痕跡を刷り取るようになったことが版画創作の原点となっているという。

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「一原有徳・多面体 地球の部品掌の中にあり」展 会場風景 / 北海道立近代美術館

今回展示された作品は、初期のモノタイプの作品をはじめ、金属凹版、オブジェなど、多様な表現による版画作品の他、俳句、登山の記録写真、実際作品に使用された版などが一堂に集められた。「俳人」「登山家」「版画家」として幅広い創作活動を展開してきた一原氏の「未知なるもの」への探究心が、それぞれの展示された作品からみて取ることができた。

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