ソナー 2014

HAPPENINGText: Julio Cesar Palacio

ソナーは毎年規模を拡大しており、最近ではアーティストのラインナップにも変化が現れている。「進化とマルチメディアのフェスティバル」と題するのがもはや難しくなり、今や主流イベントの方向へと向かっている。しかしながら、ソナーは今年も大成功し、そのラインナップは非常に魅力的で、新しく先端を行く企画は迫力あり貴重なものだった。

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ソナーホールは1年前に新設された美しい施設だが、スペイン広場のフィラで繰り広げられるソナー昼の部のためにしっかりと整備がされていた。

木曜日の早くからソナーホールではドイツのニルス・フラームの若い作曲家やピアニストがそろい、美しいセットを背にクラシカルなピアノ、シンセサイザーを熱狂的なアクションでジャンプして奏でていた。力強いバスのラインととともに澄んだ奇麗なサウンドが響き渡った。最高のフェスティバルのスタートに会場は大きな拍手で応えた。フラームはピアノの上に汗をしたたらせ、全てを出し尽くすと約束した通りその信じられない才能を見せつけた。

まだ木曜日だというのに人々は早くからフィラに集まり、会場の空気は幸せ一杯だった。皆1年間このフェスティバルに参加するのを待ち望んでいたのだ。昼の部は早くから混み合ったが、この新しいフィラの会場はこれまで以上に広く充実し、皆が色々なステージを動き回ることを可能にした。

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我々が参加した2番目のショーは日本のバンドにせんねんもんだいのライブ。3人組がソナーホールをロックの構成(ドラム、ギター、ベース)で作られるエレクトリック・ビートで圧倒し、クラウトとポストパンクのテイストを取り入れたプログレッシブダンスのリズムが終わることなく続いた。

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私が記事の最初に書いたように、ソナーは、先端を行くミュージックフェスティバルのタイトルを守るために、メインストリームとアヴァン・ギャルドの葛藤を見事に制した。私を含む多くの人々にとってクリス&コージー(コウム・トランスミッション、スロッピング・グリッスルのクリス・カーターとコージー・ファニー・テュッティ)の音楽的実験がまさにソナーの真の姿を語っていた。ベテラン達はイービーエム、インダストリアル、そしてテクノからエレクトロニック音楽を教えてくれた。この音楽的トーテムポールによる演奏を見られたのは本当にすごいことだ。

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野外のソナービレッジではミュートレコーズの代表、あのダニエル・ミラーによるDJセットが組まれた。プロデューサー、ミュージシャン、そしてDJの素晴らしいパフォーマンスとともに人々は太陽の下で踊った。

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フェスティバル全体を通して最も優れたステージ、最もユニークで特別な演奏が展開された場所、それはソナーコンプレックスだ。心地よく堂々とした講堂で、暑さや人ごみから逃れ、椅子にリラックスし、今回のイベントで最もわくわくするコンサートを見るのに最適な場所だった。ここでは、二人のドラマーが加わった事で迫力を増したオーストラリアのベン・フロストのライブからスタートした。フロストが真ん中、ドラマーはそれぞれのサイドから向き合う形で位置に着く。フロストはシャープなリズムのパーカッションを用いてホワイトノイズや複雑な音環境をつくり、音響器機の可能性を一段階上のものへ、パワフルで痛快なものにした。

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コンプレックスでの音体験を後にすると、外はもう暗く、ビレッジはフェスティバルの人気者の一人リッチー・ホウティンの登場に混み合っていた。今回はヨーロッパプレミアとなる プラスティクマンのオブジェクトの登場だ。抽象的なヴィジュアルとライトが交錯する中に浮かび上がるオベリスクトーテム。音楽が会場とシンクする混沌の中で、プラスティクマンはビレッジのオープンエリアに突然現れた。これがソナー昼の部の最も壮大なエンディングの一つだと私は記憶している。

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