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アルル国際写真フェスティバル 2013

HAPPENINGText: Valerie Douniaux

アルル国際写真展は、ただ人気のある写真家たちを集めたイベントではない。優れた個展やグループ展を通して、無名の写真家や忘れ去られた写真家達が(再)発見される機会でもある。今年度もっとも驚いた出来事の一つは、ギルバート・ギャルシンのウィットの利いた展示だった。彼は過去アルルのワークショップに参加したことで写真家としてのキャリアをスタートさせた人物だ。加えて、マイケル・ヴァンデン・エークハウトの非常に個人的で冷酷で不条理な、しかし優しくもある視点で世界を見つめるような写真も素晴らしかった。

エリック・カッセルの家族写真への敬意もまた楽しく、感動的だった。夜の古い劇場にて開催された彼のスライドショーは一番笑った瞬間であり、今年のアルルのハイライトとなりうるものだった。アルフレド・ジャーの展示は、私たちが社会の中で形成してきた権力や特定の地域などへのイメージに対し、大きくゆさぶりをかけるような過酷な内容だ。だからこそ、訪れる価値は十分にある。

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Hiroshi Sugimoto, Carré Hermès Éditeur (Hermès Éditeur square scarf), Colours of shadow 128 1/7

そして写真だけではなく、リ・ウーファンによるインスタレーションは必見中の必見だ。静けさ感じる作品は、芸術と環境の相互作用を改めて教えてくれるようであり、韓国出身作家の才能を再確認した瞬間であった。唯一残念だったことは、杉本博司の作品「陰の色」と「発見」だった。彼は才能に溢れる写真家だが、今年選ばれた写真家の中ではかなり異質であるように見えた。

一時的なものと常設のものを含め、期間中はアルルの至る所に膨大な数のギャラリーが誕生する。アルルの曲がりくねった道を散歩している時でさえも、面白い発見ができるだろう。また、アルルは小さな都市でもあるため、色々な場所で同じ人に遭遇するということがしばしば起こり、町全体が打ち解けたような雰囲気になる。それはまさにアルル国際写真フェスティバルの正式名称「Rencontres d’Arles(アルルでの出会い)」そのものだ。

Arles Photography Festival 2013 (Les Rencontres d’Arles 2013)
会期:2013年7月1日(月)〜9月22日(日)
時間:10:00〜20:00
会場:アルル市内各会場
https://www.rencontres-arles.com

Text: Valerie Douniaux
Translation: Eri Yamauchi

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