第16回 文化庁メディア芸術祭

HAPPENINGText: Tomomi Sakuma

年々国内だけでなく世界での注目が集まる文化庁メディア芸術祭が2月13日から24日まで開催されている。過去最多の71カ国の国と地域から1502作品を含む合計3503作品の応募があり、アート、エンターテイメント、アニメーション、マンガの4部門においての受賞作品を中心に、幅広いジャンルの作品が集まっている。会場は国立新美術館をメインにシネマート六本木、東京ミッドタウン、スーパー・デラックスで作品展示や各種イベントが開催される。

第16回文化庁メディア芸術祭
『Pendulum Choir』Cod.Act (Michel DÉCOSTERD / André DÉCOSTERD)

アート部門で大賞を受賞したのは、15年以上兄弟でパフォーマンスやインタラクティブインスタレーションを展開してきた、コッド・アクトの「ペンデュラム・クワィア」だ。台座に乗った複数の男達が、マイクを付け、様々な角度に動きながら合唱をしている。よく見ると彼らは機械に縛り付けられて、表情豊かに歌っている。シンプルな空間に、同じ黒い衣装をきた彼らは人間であるにも関わらず、先日ロンドンの科学博物館で公開が始まった人造人間「レックス」を思い出させた。実験的で意外性に富んだ作品だ。

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『欲望のコード』三上晴子

黒い幕をあけて入ると、そこには巨大なインスタレーションが現れる。アート部門で優秀賞を受賞した三上晴子の「欲望のコード」。白い壁には90個のカメラを付けたストラクチャー、そして中央にもカメラとレーザープロジェクターが搭載された6基のサーチアーム。それらが観客の動きに反応し、動きだす。その映像と世界各地の監視カメラの映像が複雑に交差しながらまるで蜂の巣のような円形スクリーンに投影される。その空間にいると、カメラに追われ監視されているような気分になるのだが、監視しているのも自分であり、なんとも奇妙な気分だ。

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『Perfume “Global Site Project”』真鍋大度/MIKIKO/中田ヤスタカ/堀井哲史/木村浩康

50台のiPadを壁一面に並べCG映像を流しているのは、エンターテイメント部門で大賞を受賞した「パフューム“グローバルサイトプロジェクト”」。パフュームはこれまで最先端のテクノロジーを使ってパフォーマンスを行っているテクノポップグループである。この作品は彼女達の世界デビューを記念したプロジェクトで、ウェブサイトから振り付けのモーションキャプチャーと楽曲データがフリーで配布され、それにより、500以上のプロジェクトが世界各国から生まれたそうだ。人間不在のテクノロジーが増えている中で、テクノロジーをどんどん取り入れつつも、ファンとクリエイター、アーティストという人間的な部分でつながっていけるこのプロジェクトはエンターテイメントの新境地を切り開いている気がした。

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