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キース・ライリー / ファブリック

PEOPLEText: Monika Mogi

キース・ライリーは1999年にロンドンの伝説的なナイトクラブ、「ファブリック」を設立。たとえ訪れたことがなくても音楽好きであれば、幻想的な体験を提供してくれるこのクラブを誰もが知っているだろう。ライリーのライフスタイルは、ダンスや社交そしてラグジュアリーなものに囲まれた派手で商業的なものではなく、とてもシンプル。

今回ライリーは、ディーゼルと手を組み、渋谷にあるディーゼル・アート・ギャラリーにてファブリックのグラフィックアートに焦点をあてた展覧会「US by fabric」を行う。ファブリックの壁に飾られてきたアートは、ナイトシーンの中で不安や絶望から逃がれさせてくれるものばかり。この展覧会は、2013年2月15日まで開催されている。

キース・ライリー / ファブリック

自己紹介をお願いします

私自身について皆に伝えられるほど興味深いことなんてあまり無いということを、まず言わせて下さい。私は派手なライフスタイルを送っているわけではなく、実際はとてもシンプルな人生を送っています。音楽とアートに対する自分の情熱を全て注ぎ込むことができるナイトクラブでの仕事をさせてもらえたとても幸運な人間です。私にはハンナとジョージアという素晴らしい娘達に恵まれました。私は本を読んでいる時と、音楽を聴いている時が一番幸せだと思っていてそれ以上に何も望むことはないです。

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Photo: Nozomi Kato

世界初のファブリックの展覧会をやることになったきっかけと、コンセプトを教えて下さい。

このコレクションを企画して展示することになったきっかけは、ディーゼルからのとても嬉しいお誘いがあってのことです。ディーゼル無しではこんな機会は実現していなかったと思いますし、実際に日本で展示するなんていうチャンスは、きっとこれからも二度と巡ってこないでしょう。

私は東京のギャラリーや、「DIESEL:U:MUSIC」といった活動を通じてアートをサポートしてるディーゼルに多大なる敬意を持っています。会社のロゴばかりを目立たせようという目的だけの、他社のスポンサードイベントとは違い、ディーゼルは誠実な姿勢で、育んできた活動について深く理解し、本物のイベントを創り出しています。その感覚は以前自分が関わったディーゼルのイベントから感じ取ったもので、日本のチームとの最初のミーティングの段階で、すぐに進行を決めたのも、それが理由です。

私たちはこれまで、作品を展示しないかと他のオーガナイザーたちに提案されたこともありましたが、そこに誠実さを感じられなかったため断ってきました。ディーゼルの提案の純粋さは、全てのプロジェクトが価値のあるものだと感じさせてくれます。この展覧会に特別なコンセプトはなく、シンプルな私たちがこの13年間の間にプロデュースしてきた回顧コレクションなのです。

セレクションには本当にとても苦労しましたし、いろいろな理由で選べなかった作品があることを心残りに思っています。でも、そこに何もコンセプトがなかったということはいいことでした。セレクトの過程を完全に自由にしてくれましたし、おそらくそのほうが良かったのだと思います。コンセプトにこだわることは、私たちの選択を偏らせるでしょうし、それは最も大切な「美しいか美しくないか」という基準を浸食してしまうでしょう。

真実は、あるべき形で存在しています。アートを過剰に分析したり、知的にとらえることは簡単ですし、私たちはみな時としてそのようなことに陥りがちですが、一番大切なのは鑑賞者の美の観点であって、その感覚に合致するかどうかだと思うのです。

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