キース・ライリー / ファブリック

PEOPLEText: Monika Mogi

あなたにとってナイトライフとは何でしょうか?どうして私たちにとっては、それが社交的でなければならないのでしょうか?

私にとってのナイトライフは、新しい音楽の発見です。実際興味のあるアーティストを見るためでなければ、きっと私は出かけないと思います。私の人生の大部分は、ナイトライフで占められています。ナイトライフが、太陽の出ない暗闇の間に起こるという事実も好きです。なぜなら、それがナイトライフの秘密めいた魅力なのですから。

新しい魅力的なアーティストを見つけたり、奇妙な新しい経験も、大抵夜に起こることです。全てのことが、夜に起こります。私たちの人生において、素晴らしくて、エキゾチックな出来事は、夜に起こりがちだと思います。みんな夜になると、別人のようになりますしね。ある人は、昼よりもリラックスして面白い人になるし、ある人は新しい自分を発見します。そのことが、素晴らしい社交的な環境になる理由なのではないでしょうか。

もちろん、仕事が終わった後で、探検とお楽しみが始まるという要素無しには、ナイトライフの楽しさはありません。社交的であることを必要とするにせよしないにせよ、必ず理由があってそうなりますし、自然と社交とコミュニケーションが起こります。私たちの洗練された複雑なナイトライフにおいて、その事実は群れの本能として普遍のものなのです。

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今回のディーゼル・アート・ギャラリーで展示する作品のなかでお気に入りはどれですか?その理由も教えて下さい。

私はいつもこの手の質問を、はっきりとした理由があって避けています。でも今回のケースでは、喜んでひとつの作品を選びます。なぜなら、私たちが創り、使っているアートをシンボライズすることは目的を分かりやすくするからです。私が好きな作品は、女性が椅子に座っている60年代の写真を使ったものです。隣には男性が立っています。彼はキツツキの頭をもっていて、写真は黒のインクでスプラッシュされています。

なぜこの作品を選んだかというと、上品で控えめなビジュアルを使っているから。私たちのナイトクラブが他の場所とは違うということを知らせるのにもいいです、なぜなら私たちは無礼な言葉よりも、こういうイメージが好きだから。美や思考や文学をだめだと言っているわけではありません。単純に、言葉はこの空間において色々なものを制限してしまうからです。これは不快感を与えるまもなく画像の解釈を行えるという領域なのです。そして、このイメージがファブリックについて伝えようとしていることが好きです。その解釈は、あなたに委ねます。40x40-02.jpg

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日本の現代アートとナイトライフについてどう思われますか?ファブリックと比較できるクラブがあれば、ぜひそれについてもお聞かせ下さい。

これは難しい質問ですね。東京については、あまりよく知らなくて、本当に観光客レベルですから。でも第一印象が圧倒的だったということは否定できません。

日本の現代アートについては、まだ学びたいことが沢山ある大きなテーマですから、今は表面的なことしか話せないですね。ロンドンで会った日本人アーティストに、さわひらきという方がいます。私はすぐに彼の作品のなかの、大好きな日本アート的な要素に引き込まれました。最上級の柔らかさや上品さと西洋人の視点にはない落ち着きを感じました。でもそれ以上に彼の作品には沢山の魅力があります。そしてそれを通してまるで舞踏のような、パフォーマンスの美について全く別の考えを与えてくれるような要素を発見しました。

また日本の建築にもとても興味があります。東京はそれ自体が私がこれまで出会ったことが無いような巨大なアートになりえると思います。多くの魅力的なビルを見ることができ、私のようなシンプルな人間にとってはここは天国のようです。たった2度目の短い東京滞在なので、これは大きな冒険の始まりに過ぎません。ナイトライフについては、まだレストランにしか行ったことがないのでわかりませんが、もちろんレストランも素晴らしかったです。

私が感じた日本の人々の喜びに満ちた精神は、これまで経験してきたナイトライフを定義するようなものでした。とても礼儀正しくて、謙虚で、思いやりがあって、私は自分がヨーロッパ人であることを恥じてしまうほどでした。私たちヨーロッパ人特にイギリス人は、この高貴な品位に本当に欠けています。私たちは「WOMB」で今回の展示を記念したパーティを開催しましたが、それは本当に素晴らしいものでした。まるで、ファブリックのスタッフと一緒に自分のホームにいるような気分でした。

彼らは、アプローチと音楽の面において、私たちととてもよく似ていましたし、自分たちの信じる音楽をプロモートし続ける努力の歴史を共有していました。彼らが作り上げたプロダクションを私は二度と忘れませんし、受けたもてなしは私のなかでずっと生き続けると思います。関係者のみなさん、そして特にサビ(WOMBのエグゼクティブディレクター)と彼のチームにありがとうと伝えたいです。

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