NIKE 公式オンラインストア

コール・ミー・ゼイ

PEOPLEText: Alvis Choi

カナダを拠点に活動するアーティスト、エリーシャ・リムココ・ライオットによる「Call Me They」(コール・ミー・ゼイ)は、ビデオやストップモーション・アニメ、コミック、イラストレーション、クレイアニメーションなどで、独自のアートを生み出している。作品はトランス=クイアの恋愛を称え、ジェンダーニュートラルな代名詞として「they」を提唱するものだ。彼らはトランスを、「彼女から彼になった人」、あるいは「彼から彼女になった人」としてではなく、彼でも彼女でもない、「theyからtheyになった人」と定義している。彼らの刺激的な作品について、話を聞いた。

12-ElishaAndCoco.jpg
Elisha Lim and Coco Riot, 2011

ご自身について、お話しいただけますか?

エリーシャ・リム(以下E):エリーシャ・リムです。中国人とイギリス人のハーフです。カナダでは、みんな私のことを中国人にしか見えないと思っているので、ほかの人とは違った扱い方をされます。無視したり見下したりされますし、私がリーダーになれるなんて考えられもしません。そういった扱いには、本当に頭にきています。それで、人種差別全般に対して戦うようになったのです。また、クイアとして差別される人たちを、広い意味で私の愛すべき家族として思うようになりました。私のアートは全て、愛、プライド、そしてレジスタンスについてです。

02-ElishaLim.jpg
Elisha Lim, 2012.

ココ・ライオット(以下C):ココ・ライオットです。私はスペイン系のクイア・アーティストで、カナダ在住です。私の個人的、政治的経験を表現できるいろいろな物語的ドローイングが、私の作品のほとんどを占めています。スペイン語話者のクイアとしての私の目標はスペイン語で話して感じることのできるクイア・カルチャーの一端を担い、現状では非常に英語話者中心的な視点で語られているクイアネス(クイア的なもの)を、(英語圏以外に)分散させることが私の目標です。多分もうひとつの目標は、私たちそれぞれにとって美の意味が何であろうと、美しいものをつくることです。私たちのコミュニティーでは、美は癒しやセルフ・ケアのひとつの手段かもしれないと感じます。

01-blowfish.jpgBlowfish, Elisha Lim and Coco Riot, 2012.
Blowfish, Elisha Lim and Coco Riot, 2012

ニュートラルな代名詞として「they」を使うことについて、ご説明いただけますか?

E:私たちは二人とも、「they」という代名詞を使っていますが、私たちのクイア・サブカルチャーにおいては広く受け入れられており、ポピュラーなトレンドになっています。それは、「ジェンダーは二つしかない」という退屈な考えを否定しているからなのです。だって、そうでしょう?「ちょっと男の子っぽすぎる女の子」や「ちょっと女の子っぽすぎる男の子」がいることを、私たちはみんな知っています。そして歴史を振り返ってみたとき、沢山の土着文化がジェンダーをあらわす上で幅を持った様々な言葉を使っています。東南アジアでも、インド、南北・中央アメリカでも、沢山のところで。ジェンダーは、二つにとどまらないのです。英語話者である私たちのクイア・シーンでは、第三の選択肢として、「they」が使われ始めています。そして、大きな牽引力を持ってきているのです。

(注:単数代名詞として、「they」は文法的にも全く正しいものです。疑問をお持ちの場合は、こちらのビデオをご覧ください)

続きを読む ...

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE