コール・ミー・ゼイ

PEOPLEText: Alvis Choi

インスピレーションを受けたアーティストやクイアはいますか?

E:もちろんいます!変化を起こすのは可能なんだということ、私たちは美しいということ、そして私たちはリスペクトを要求していいのだということを信じさせてくれる、クイア(として人種化(※)された)・アーティストたちです。ケント・モンクマン、カマ・ラ・マッカレル、ルロイ・ニューボルト、リチャード・ファン、サミア・ファローク、バーバラ・キャメロン、アラスカ・B、アンジェ・ロフト、ジン・ハリタワン、アディー・ロバーソン、テキスタクイーン、イアン・ラシド、ジェームス・ボールドウィン。沢山の人です。どの人のことも、見つけることができてラッキーだったなと思います。
※人種化:ある特徴を持つ人たちやグループをカテゴライズし、あたかもひとつの人種のように扱うこと。

C:私は、路上でまわりを見たときに見えるものから、とてもインスピレーションを受けます。ポスターや、人が家を飾っているのや、服を見るのが大好きです。私はファブリックやパターンが大好きで、明るい色やスペインのアートに見られる伝統的な模様のパターンにはとてもインスパイアされます。たとえばアルハンブラの陶器の装飾や、物語風のバロック彫刻。アートという名のもとに、私のコミュニティーや友達が作り出しているもの、たとえばモントリオールを拠点にしているジェニー・リンの本やアニメーション、バルセロナを拠点にしているスザンナ・マーティンのコミック、エリーシャ・リムのポートレート、コーラル・ショートのコミュニティーパフォーマンス。こういった素晴らしいアーティストたちと友人になることができて、私はとてもラッキーです。質問したいことを聞けますし、私たちはお互いに強い賞賛の意があることが分かるんです。アート・ヒストリーの上では、私は物語的なドローイングが本当に好きですが、たとえば古いフランドルの絵画やペルシャの装飾写本などです。

11-LosFantasmas.jpg
Los Fantasmas, Coco Riot, 2012

次のプロジェクトはどんなものですか?

E:実は、最近神様に興味を持っているんです。全然アートのように聞こえないのは分かっています。だけど、私のアートも私のクイアネスも、特別なかたちの自由を感じさせてくれるものです。私は(世の中の)メインストリームに「受け入れられた」とは感じませんが、甘美で、思想を挑発するようなポジションだと思っています。そして外側にいる一方で、組織されたどの宗教の型も破っている、急進的なスピリチュアル・ワークショップに興味を持っています。地下鉄に乗った6人のクイアの人たちの顔を描いた映画を撮っているところですが、同時に、一番深いところにある祈りを録音したものもあります。このプロジェクトの続行に対し大いに助成してたいだいたケベック・アート・カウンシルには、奨励してもらえて嬉しく感じています。公式レセプションが待ちきれません。

C:私は今、これまでで一番チャレンジングなプロジェクトに取り組んでいます。ロス・ファンタスマスというんですが、スペインの大量虐殺の歴史と、ごく最近の歴史(1936-1975)が一部否定されていることについての24メートルの壁画です。スペインは数的には世界で2番目に大量虐殺があった国ですが、これは私たちが話さないようにしている暗黙の了解なのです。私は、この隠蔽された拷問や殺戮がいかに現在のスペインの日常生活に滲み込んでいるのかに興味があるのです。私はこのプロジェクトにも助成金をいただいていますが、スペインではありえなかったことでしょう。私はこれを今、カナダで見せようとしていますが、目標はスペインで展示をすることです。

日本の読者に、何か知ってほしいことはありますか?

E:私のウェブサイトにどうぞ来て、メッセージをください、と言いたいです。私に挑戦してほしいですし、作品に何かを要求してほしいです。
アジアに住んでいたときは、西洋が文化の生産者で、私自身は彼らの文化の消費者のように思っていました。今では、それは残念なことだったと思います。非西洋の視点を乗り越えるのは大変なことです。私は、そういった声を聞きたいのです。

C:日本は、物語的なドローインや何かしら私の興味を惹くものの長い伝統がありますね。彼らのポリティクスを表現する物語的ドローイングの方法を持ったアーティストやオーガナイザーと会えることを楽しみにしています!私のウェブサイトへ来て、連絡をください!

Text: Alvis Choi
Translation: Izumi Watanabe

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE