チェン・マン

PEOPLEText: Satsuki Miyanishi

DIESEL ART GALLERYにて、シンディ・クロフォード、フェイ・ウォン、コン・リーなどのセレブリティが被写体となることを切望する中国写真界のスーパーアイドル、チェン・マンの日本初の展覧会が行われている。北京育ちの彼女は、上海のファッション誌「VISION」の表紙連載で話題となり、その秀でた才能によって彼女の世界観を独自の視覚言語で表現し続けている。コーチやディオール、ランコム、アディダスなど有名ブランドとコラボし、斬新な切り口で表現される彼女の作品の中には、彼女の大切にしている歴史や伝統といったものも表現されている。

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© Chen Man

今回のDIESEL ART GALLERYの展覧会は、どのようなことを表現していますか?どんなポイントを観客に見てもらい、感じてもらいたいですか?また展覧会のタイトル「Glamorous Futurist」の意味を教えてください。

私の作品は、主に3つの段階に分けることができ、その最初の2つは自分自身の説明となる部分です。最初の段階は、私がまだ学生だった頃の「VISION」シリーズです。今までこのような手法は使った人はいませんでしたが、このシリーズでは若手アーティストとしての積極的で創造的なモチベーションで多くの撮影後の画像処理を行っていました。その後、私はファッションのサークルに参加しましたが、私が画像処理を行うため、人々が私に対して多くの懸念を持ち、私の作品はある意味奇妙であると感じていました。ですから、私はパスポート写真のようなとてもシンプルな美しいポートレートという次の段階に進みました。これらの作品によって画像処理だけが私の強みなのではないことを人々に示してからは、徐々に人々は私と近づきはじめ、私はサークル内で私のファッション写真の位置を確保していくようになりました。この後、私は中国的な背景を持つ現代ファッション作品の作成を始め、これらは私に多くの意味をもたらしました。そのようにして私はファッション写真において、このような背景や中国人モデルを作品に使用する初めてのアーティストとなったのです。

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Vision – Year of the Monkey, 2003 © Chen Man

私がこのようなただ派手なだけではなく、美しい作品を制作できる理由が3つあります。一つ目は、私は海外で学んだことがない中国人のフォトグラファーであること。2つ目に、私は視覚的なクリエーションツールを熟知していること、そして3つ目に、私は歴史を繰り返すことではなく、現代の中国の新しいイメージを制作することが私の責任と感じていることです。「the funk great wall」シリーズは、ほとんどそれら全ての条件が揃っています。ファッション誌においてこれまでこのような作品が掲載されたのは初めてだったので、外国メディアは、これを中国のファッション革命と呼びました。この第3の段階は、私は中国の哲学、西洋の技術を表現し、古代中国の価値、環境保護主義、内側の心、そして外の世界のバランス、などをミックスし、自分のアイディアや視覚的な言語として表現しています。

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Young Pioneer with the Three Gorges, 2009 © Chen Man

西洋のアート/デザイン史における未来的な美の変遷を、1点の作品中に圧縮陳列する、グラマラスな「タブローとしての写真」。そして、20世紀初頭にマリネッティの「未来派宣言」が起草されて100年が過ぎ、21世紀のフューチャリスト、チェン・マンが中国から現れた、ということを、「Glamourous Futurist」というタイトルで表現しました。

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