山口碧生

PEOPLEText: Memi Mizukami

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自然木と書のインスタレーション「還源」, Gallery Heist, San Francisco, 2011, Photo by Akko Terasawa

アメリカで書道をするにあたって、例えば書道道具の調達に困ったりする事はありますか?

そうですね。ほとんど全て私が使っている書道道具は日本に帰国した際に仕入れて、アメリカに持って帰ってきます。アメリカでは、いい筆や上質な書道用紙などはなかなか手に入りません。私は伝統的な書道だけではなく、ストリートの壁に書いたり、ダンサーの体や服などに書いたり、キャンバスに書いたりするので、プロジェクトによってはハウスペイントやアクリルを使ったりします。その場合は、ホームセンターや普通のアートストアで手に入るので、困りませんが、やはり一番大切なのは筆ですから、海外に居ながらでも実物を手に取って見定められるお店や流通ルートが出来るといいなと思います。

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「還源」KANGEN -Reunited with Nature-, San Francisco, 2010, Photo by Akko Terasawa

パフォーマンスという形で表現を始めたのはいつ頃からですか?

パフォーマンスを始めたのは渡米後、6年程前からです。多国籍な芸術の世界に身を置きながら、多くの文化に触れて行く中で日本の伝統文化の良さを再認識し、真の日本芸術の美を伝承して行く人間になりたいという想いを強くしました。幼い頃から継続して来た書道が、それを叶える私の授かった技術であるということを信じています。

海外でストリートパフォーマンスなどをやりたいと思い、学生時代は多くのパフォーマンスを大学のフェスティバル、サンフランシスコやニューヨークで自ら企画したDJイベントや、ライブコンサート、アートショーなどでパフォーマンスしてきました。リッチ・メディーナ、ジオロジー、カドロン、Shing02、など、ステージイベントを共にした著名なアーティストが数多く居ます。

海外で書道というものを美術館や和食レストラン以外の公共の場で体感する機会は少なく、ましてやコンサートや音楽フェスティバルで目にする事は皆無に近い。そういった希有な機会で、書道の持つダイナミックな筆の動き、流れ、エネルギーを、音楽と映像というアートと融合させることで、新たなオーディエンスにまた違った形で書道の可能性を知ってもらうことを目指しています。日本の伝統芸術である書道を、パフォーマンスという立体的表現、そしてデジタルメディア(映像、音楽)との融合による現代的アプローチで世界のより多くの人々に体感してもらいたいと思っています。

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「静と動」Silence and Motion パフォーマンス, ensoma, San Francisco, 2006

大学では音楽を専攻したそうですが、その事は作品にどのように影響を与えていますか?

幼い頃から音楽が好きで、色んなジャンルの音楽を聴き、その世界観、見えてくる景色、サウンド、リズム、アンビエンスにインスパイアされて言葉を書き連ね、そこから作品のアイディアを考案しています。私の自詠みの詩の多くは、音楽からインスパイアされたものが多いですね。

音楽の傍に身を置き、ミュージシャンのサポートをすることに憧れて2004年渡米。大学では音楽ビジネスを専攻し、幸運にも大手レコード会社でインターンをしましたが、音楽を商品として扱うことに疑問を感じ、専攻を人文学、副専攻をビジュアルコミュニケーションデザインに変更しました。音楽家の魂を大切にできる音楽との関わり方を、模索した時期でした。

書道のパフォーマンスをライブ音楽とともにすることを思いついたのは、ライブにしかない、「生」の部分を表現できると思ったからです。他のアーティストの表現フォームと交わる瞬間に化学反応として生まれる、感情の迸りや、浮かんでくる言葉はその瞬間にしかない。その過程を、人々と共有したいという想いから、私のパフォーマンスはテーマという骨組みを立てたあとは、ほぼ即興です。

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