セレナ・マニッシュ

PEOPLEText: Victor Moreno

現在圧倒的支持を得ているノルウェイ出身のバンド、セレナ・マニッシュが待望の新しいアルバムをリリースした。新しいアルバム「S-M 2: Abyss In B Minor」は、重厚な音が重なり合った純粋な作品で、初めから終わりまで全速力で突き抜けていく。

セレナ・マニッシュは、高い評価を受け、一年中精力的にツアーやプロモーションをこなしながら世界中からファンを集めている。バンドは既にテキサス州オースティンの一大音楽イベント「SXSW」からデンマークのロスキレ・フェスティバルを含むヨーロッパの音楽フェスティバルで新しい楽曲を披露している。近々アメリカに戻る予定で、今一番活気に溢れて刺激的なバンドとしての名を轟かせそうだ。

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バンドは5年前のデビューアルバムでその姿を定着させ、今回様々な人々の助けを借りて成熟していった。参加した中にはプライマル・スクリームのエンジニアリングを担当したニック・テリーやレッド・ツェッペリンのフィジカル・グラフィティのマスタリングを手掛けたレイ・スタッフなどの名が見られる。

エミル・ニコライセンはバンドの中心的存在であり、作曲家として自らに驚きを与えてくれるものを捜し続けている。今回のアルバムのために彼の姉妹であるヒルマやオドネ・マイスフィヨル、トミー・アケルホルト、エイシュタン・サンズダレンの熟練したミュージシャン達が集められた。

この5人以外にもミュージシャンが参加することもある。実際、他にもスーフヤン・スティーブンスや、以前バンドに参加していたリーナ・ホルムストレムなどがアルバムのレコーディングに参加している。幸運にもバンドを生で見れる機会があるなら、きっと彼らの音に身震いさせられるに違いない。エミルの演奏が聴く者を優しく包み込み、深い深い底へと誘ってくれるだろう。

デビューアルバムから5年経ち、今回新しい作品は4ADから発売ですね。

レコード産業、さらに人々が音楽を聴いたり買ったり、さらにどう音楽と関係していくかは少し前とは全く状況が変わってしまった。このレーベルにはこれまで豊富な歴史があるし、その一部になれるのは素晴らしいことだと思っている。でもさっき言った様に、今の時代に生きているとどのレーベルに所属しているかで必ずしも全世界が変わる訳ではないんだ。今のアーティストは変化に関わって、それにそって行動しなければならない。それも一緒に働く誰もといかに協力していけるかに比例してるんだと思うよ。

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アルバムは世界中でCDなどで発売されているのですか?

ほぼ全世界でもう手に入ると思うけど、そうじゃないなら、もっと努力しなければならないね。少なくともアメリカ、イギリス、北欧盤のレコードやCDはもう実際に見たよ。

レコーディングはオスロのとある洞窟で行われたと聞きました。この2枚目の作品にはどれ程の時間が掛かったのですか?

アルバム作りをどう解釈するかにもよるけれど、アイディアを思い付いて、実際に作業して、ああでもないこうでもないと言い合って・・・。たぶんほぼ2年は掛かったと思うけれど、最初のアルバム作りが終わった時からすでに考え始めていたよ。

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バンドはどのような構成で共に作業しているんでしょうか。作曲はあなたが担当しているのですか?

曲の構成はかなりの部分まで担当しているよ。普段は他の頭の良い奴等にリズムとか曲の調和とかの部分を頼んでいるんだ。そうすると曲の持ち味が引き出されて徐々に別のものへと変化していく、これこそ求めてるものなんだ。驚きを与えてくれて、どう変わるのかあらかじめ知りすぎることもない。自分が以前行った方法にはすぐに飽きてしまうからね。一連の流れを形作っていくのは長い道のりだし、曲全体丸ごとや個々の部分を後から編集したりもするんだ。例えて言えば、全部を派手な色の粉末剤と一緒くたに洗濯機にかけて1000回回転させる、でどうやってまたそれと取り組んでいくかを見てみる様な感じかな。

このアルバム作りには、あなた自身どのように関わったのですか?

こういった漠然とした大きなもの、この精神的なメッカの地に進んでいくのは僕にとって凄く大事な事なんだ。だからレコーディングや編集スタジオにずっとこもってる。一人か、もしくは後々使える“貴重な浪費”を求めている誰かと一緒にね。いつもは時間の浪費に終わるけれども、これって金鉱みたいなもので、まさに大量のくずのなかからほんの少しの価値あるものを見つけるのと似てるんだ。うんざりするし、時間は喰うけれども、わくわくする時も結構あるんだ。

ニック・テリーとはどういった経緯で一緒に作業するようになったんですか?

共通の友達がいたんだ。彼の事は人として凄く好きだったよ。物静かで、ちょっと恥ずかしがりや、凄くかっこよくて、才能溢れる人物さ。それにそんなに人を押し分けていくような感じじゃないしね。彼にはほんと、助け出してもらったも同然さ。彼がいなかったら、未だにあのメッカの地に閉じ込められたままだったろうね。中で死んでたか、かろうじて生きている状態だったかもしれない。

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レイ・スタッフにマスタリングを依頼したのはあなたの考えですか?

Nニックがレイのことを良く知ってたんだ、二人は一緒に多くの仕事をしてたからね。だから、彼が薦めてくれたんだ。レイは素晴らしい奴だったよ。

作詞は誰が?

ほとんどが僕。リーナも少し書いたよ、もっとバンドに参加してた頃はね。

何があなたを書く気にさせるのですか?

強烈な幸福感が押し寄せてきたり、燃えるように熱狂的な波に乗っているような時に自らの潜在意識が濃縮されて、そこからかすかに感じ取れることがあるんだ。最悪な時もあるし、最高の時もあるけどね。現在や過去に起こってる事、自然の中で物事がはっきり見える時とか他の生き物との関わりなんかがきっかけになってる。だいたいそんな感じかな。あと人生、僕らが時たま好んで使う言葉だね。

今年はアメリカでのプロモーションを始めましたね。このことについて教えて下さい。

何て言えばいいのかな。大好きだけど大嫌いだよ。アメリカの田舎の方とか何にもないような辺鄙な所とかはすごく好きだな。無味乾燥な食事とか、不味い油にステーキ、匂い、あと毛深い奴らとか…。こんな堂々とした国の壮大で終わりを知らないような性格について喋り続けるっていうのは、いつまでも退屈しないね。あと率直で熱心な彼らはライブで凄く反応してくれて、とても好きだね。ただ、凄く残念だったのは当局関係の方が税金、許可証や書類を押し付けて海外のアーティストを苦しめてることだね。もうだいぶ彼らに儲けさせてやってるし、これからもそうだろうな…。僕らが稼ぐよりも多い額をさ…。だからさ、なんで彼らが何にでもそこまで疑り深いのか理解できないね。ただ音楽を一緒に分かち合いたいだけなのにさ!

他にも夏にヨーロッパでライブを行いますよね。そのことについて教えて下さい。

あぁ、かなりの数の大規模なフェスティバルに出演するんだ。ちょうど始まった所でね。ノルウェー、デンマーク、ベルギー、フランス、ドイツとかね。僕らのことを聞いたこともないような大勢の人達に向けて全力でやっていくつもりさ。それからいくつかクラブを回って、オランダやイギリス、ポーランドで開催されるもっと小規模なフェスティバルに参加する予定。で、またアメリカに戻るんだ!

年末までに進めることは他にあるのですか?

年末に向けて、新たなセレナ・マニッシュの音が開ける予定なんだ。新しい計画や出来事がたくさん待ってる。楽しみさ。今正に進行中でさ…。

バンドはいつも5人で演奏していますが、時々ステージ上にそれ以上の人がいる時がありますね。

ステージ上は賑やかで混沌としてればしてるほど良いんだ。ずっとお互い一緒に歌いあって皆ステージ上あちこちをさまよい歩いてるんだ。時と場所にもよるけれど。自由って素晴らしい言葉だし、それが現実化した時はもっと良いよね。

ショーは一時間以内に終わらせるのが好きなようですが。

ショーは厳密で、かつ徹底的な戦いなのさ。観客を飽きさせたり、与え過ぎたくはないんだ。とにかく正確でなきゃいけないんだ。

私は、あなたのプエルト・リコの国旗が描かれたアンプが好きなんです。これには見た目以外の意味はあるんですか?

それは、僕の友達のなんだよ。特注のアンプなんだけど、僕達気に入っててさ。内も外も自分で好きなのが選べるから、きっと彼、プエルト・リコが好きなんじゃないかな…。

将来4ADレーベルで3枚目のアルバムを出すというのはあるでしょうか?

100万枚も売れないようなアルバムの歴史については、君も分かるだろう。中には未だに良いものもあるけどね。もしレーベルが、収入がそこまでなくても地道に発売への道を進んでくれると言うなら…どうだろうな。僕が全精力を傾けて作ったアルバムに、レーベルはかなり満足してるよ。ビルボードに載るにはほど遠いけれど…。

ちょっと気になったんですが、あなた自身スコット・ウォーカーのことはご存知ですか?

彼のことは知ってるよ、心の中ではね。

今も他のバンドのプロデュースをする方が好きですか、それとも自分のバンドに打ち込む方が良いですか?

最近はたくさんのアーティストと一緒にはやってないんだ、近頃はセレナに掛かりっきりになってたからね。でも今年の秋には合間を縫って少し作業が出来そうだよ。ちょうどダスティ・スプリングフィールドの曲に姉妹であるエルヴィラと一緒に取り組んだところなんだ。彼女はソロで活動しててね。素晴らしい声の持ち主で、彼女の事は凄く愛してる。だから、自分自身にとって時々こういうことをやってみるのも良いと思ってるんだ。

ノルウェーでアルバムを最初に演奏したのはオスロのロックフェラーで、でしたよね?

ロックフェラーはかなり権威のある、しかもちょうど良い広さのライブハウスで、大体1,300人位収容出来るんだ。かなり高いステージに観客席、それに素晴らしい音響設備が整ってる。長い歴史があって、僕も本当に魅力的なひと時を過ごさせてもらったよ。あの場所が大好きだと言わずにいられないね。ノルウェーだと悲しい事に全てが高くて、あそこは純粋に音楽会場だから、ちょっとぶらぶらできるような場所ではないんだ。オスロって素敵な街だけど、ちゃんとどこへ行くか選ばなきゃいけないんだ。昼間と夜でね。

今後もオスロに長年住もうと考えていますか?それともどこかへ移る考えがありますか?

世界中に大好きな場所は沢山あるからね。引っ越そうとした事は何度もあるんだけど…。都会か森の中かにね。森に惹かれてるんだけど、特に最近強くね。

あなたの姉妹であるエルヴィラに会った時、彼女がノルウェイで有名なバンドでも演奏してると聞きました。

あぁ、また始まったね(笑)。そうそう、彼女はソロなんだ。デビュー作がこっちの所謂プラチナレコードになって、今じゃノルウェーでも有名なんだ。まるで全然違うことをやってるんだよね、僕ら。

家族は皆ミュージシャンですか?

僕たち兄弟は全部で7人いて、その内の若い3人はまともな道に進んだよ。尊敬するね。僕の兄弟のイヴァールと二人の姉妹、エルヴィラとヒルマはこのとんでもないゲームにはまってしまったんだ。素晴らしい子供時代だったし、自宅はたくさんの愛と喜び、そして音楽への愛情で溢れていた。小さい頃のいろんな行事で音楽が使われていたし、それは今でも変わらないよ。

あなた自身についてもっと教えて下さい。ツアーのあと、家に帰ってからの一番の楽しみといえば何ですか?

空気がきれいなことだね。食べ物もそう。森もね。水も澄んでてきれいだし。こういったことかな。だって僕自身は確かに潔癖じゃないけれど、この豊かさは楽しんでるんだ。ここでしか楽しめない、僕らだけの特権だね!

Text: Victor Moreno
Translation: Yuki Mine
Photos: Victor Moreno

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