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エリック・ボシック

PEOPLEText: Bonnie Oeni

エリック・ボシックは東京を拠点に、俳優、ダンサー、モデル、写真家そして映像監督として幅広く活躍するアーティスト。アメリカのペンシルベニアに生まれ、その後シンガポール、カナダ、ロサンゼルスで暮らしてきた真のコスモポリタンだ。1996年に来日し、ファッションモデルとしてキャリアをスタートし、ヨウジ・ヤマモト、マサキ・マツシマやグッチ等のブランドで活躍した後、日本の舞踏界に活動の場を広げた。また、彼は11年のキャリアを持つ写真家でもあり、ロッキング・オン・ジャパン、エル、ローリングストーン、スマートといった有名雑誌と仕事を共にしてきた。そして今、彼は日本のカルト映画のアイコンとも言える映画監督、塚本晋也の最新作「鉄男 THE BULLET MAN」で主演俳優を務めている。

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なぜ日本にやってきたのですか?

ビクトリア大学を卒業しBFA(美術学士)を取得したあと、私はカナダのバンクーバーに移り住みました。しかしそこではあまり満足できず、旅に出ようと思いたったのです。若い頃、私は武道を学んでいて、日本の文化にとても魅力を感じていました。それで最初は日本に半年滞在し、帰国しようと考えたのです。その時に、日本語を少し勉強しました。

来日した当初、純粋にとても自然な感覚を受けました。それから日本の面白さや刺激的な部分にどんどん惹かれていき、帰国することが難しくなったのです。そこで私は滞在を少しだけのばし、また少しのばし、そうしてもう8年になります。

実は2004年に一度ロサンゼルスに移り住もうと試みたのですが、ロサンゼルスという街、その構造そしてアメリカ社会に暮らす人々は、私の目にはただ大きくて鈍く、さえないものに見えたのです。東京にホームシックを感じない日はありませんでした。それで、これ以上ここには住めないと思い、そして私は東京が私の故郷だということに気がつき、ここに戻ってきたのです。

ダンス、役者、ミュージックビデオの監督、写真家やモデルとしても活躍していますが、ご自身をどのように定義しているのでしょう?

良い質問ですね。なぜなら私は最近ちょうど新しい名刺を作る必要があって、その時肩書きを何にしようかすごく悩んだのです。迷った末、ただ「アーティスト」としました。例えばとても才能に溢れた人がいたとしたら、その人は才能をいろんな分野で発揮することができるでしょう。アメリカでは、複数のことをする人は見下されます。『何をしているの?真剣に取り組んでいないんでしょう』という風に。しかし日本ではそういった活動をする人は、新しい人、ある種ルネサンス的な人として見られます。

やらない事などあるのですか?

最近ギターを学び始めました。紛れもなく初歩的なレベルです。しかし私の人生と時間は限りあるものです。多くの人は私のところに来てこう言います。『エリック、君はほんとうに上手いね!』とか、『あのダンスは良かったよ。もっとやるべきだ!』とか。もちろん分かりますが、ただ時間がないのです。だから今は、俳優として、写真家としての活動に集中しています。

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