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榎 忠

PEOPLEText: Kazumi Oiwa

これからも銃や金属などの作品を続けられますか?

いや、あれは来年までだと思うな。その後は何も考えてない。そんな先の事を考えても、いつ死ぬかわからんし、どっか行くかもしれんし、または好きな人が現れてフラフラーとそっちにいくかもしれんしなー!僕はずっと美術をやろうとは考えてないねん。今やりたいことがあるからやっているだけ。せやからずっとここまでやってこれたんよ。他の皆は欲とか目標とかがあるからやってるやん、そのための努力をするやん。僕はそのためへの努力とかせえへんもん。一生懸命やるだけ!

最初は美とは何か、芸術とは何かって考えたし、求めたけど、そんなん何にもならないなーって。そりゃ、自分でやっていれば意味も価値も、または社会とかも見れてくるけど、そんなん追求したって何の価値にもならへんな思うねん。だから今の自分を信じて、今の自分のやりたいもんだけをやっていこうと思ってる。今の自分を大切にしてな。だからこの先はわかんないね。

皆には今の僕を見てほしい。自分で出向いて、空気を吸って。
映像とかではあかん。僕の今を五感で、体全体で感じて欲しい。

榎忠
榎忠「Unearthing」 Photo: Yoshisato Komaki

今回の展覧会では、北海道をイメージした新作もあるんですよね?

うん「カムイ」いうな。小さい頃に漫画の「カムイ伝」いう漫画を見ててな。北海道くるの初めてやったし、なんかカムイとかアイヌいうのが頭にあってな。

初めての北海道はいかがですか?

最初、今年の1月くらいに来てな、あまりにも真っ白で「本当に北海道かいな…。」と思ったわ!どこか違う国につれてこられたんちゃうかってな!モエレ沼公園にも行ったし、海鮮丼も食べれたし。だからまた海鮮丼が食べれるのなら思うて、また今回来たんやわ!(笑)
28日には宮の森美術館の結婚式でファルコンをぶっ放してくれいう人がおってな。楽しんでるよ!

今後の活動は?

また11月に北海道に来るらしいわ、ようわからんけど!(笑)

お話を聞かせていただいて、榎さん自身が作品という感じを受けました。

そうよ。僕は生き方というか生活とか何もかも含めて、作品って言ったら何か変かもしれんけど僕の今やりたいこと、僕の表現をしているからね。今の時代の人達はテレビの世界の事を信用して、感覚が麻痺しとるやん。おかしいとか、危険だと思っても、それを阻止しよういう行動には移さないやん。昔は学生運動やらハプニングを起こしとったけど。今、何故しないかというとそこまでの想像力しか無いからやん。僕は美術に必要なのは想像力だと思う。常に不安や危険を感じて、想像して生きている。ボケッと構えてようなんて到底思わない。その想像力が僕の作品になる。だから僕自身が作品なんやと思うね。生きてる間に楽しく、僕は僕なりの美術を作っていくと思うよ。たまたま僕は美術という、表現の自由と言われる世界に身をおいているのだからね。

6月6日(金)、展覧会の開催にあたり宮の森美術館でオープニングトークが開催された。言葉にするのが好きでは無いと榎さんは言っていたが、やはり人間大好きな榎さんは変わらない笑顔で自分の信念を語ってくれた。そこには榎さんの温かさ、優しさが滲み溢れていて、笑いが絶えなかった。最後に見せてくれた空砲パフォーマンスの衝撃は、榎さんの美に対する思いそのままだったと思う。

今回の展覧会には今までの作品の写真やローズ・チュウの映像なども見ることができ、写真集やグッズも販売されている。また宮の森美術館では、6月21日(土)にキャンドルの灯りの中で榎さんの作品が見られるイベントを開催。6月28日(土)には結婚式を挙げるカップルのために榎さんが祝砲パフォーマンスを見せてくれる。

この男、危険。 榎忠 展
会期:2008年6月6日〜7月27日
開館時間:11:00〜19:00(月曜日休館)
会場:札幌宮の森美術館
観覧料: 一般500円、高大生300円、中学生以下無料
主催:札幌宮の森美術館
後援:札幌市、札幌市教育委員会
https://www.miyanomori-art.jp

Text: Kazumi Oiwa
Photos: Yoshisato Komaki

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