フェイス・ハンター

PEOPLEText: Arisa Kobayashi

イーストロンドンの中心、ブリックレーン。そこはロンドンのビンテージをこよなく愛する人々が彼らのワードローブにコレクションをまた一つ増やそうと、足繁く通う場所としてその名を知られている。万華鏡の様に七変化する人々の想像力やユニークさは見ていて飽きることがない。あの道をとっておきのドレスで歩いたなら、少し変わったファッション・ハンターの彼があなたに声を掛けるかもしれない。このロンドンが生み出す新たなスタイルに常に目を向け、ストリート・フォトグラフィの世界でその名を轟かせた現代のインディアナ・ジョーンズがそこにはいる。

Face Hunter

フェイス・ハンターことイヴァン・ロディックは、スイス生まれのロンドンに住むストリート・フォトグラファーだ。彼が2006年の1月にフェイス・ハンターというブログを始めてから、それはファッションにハングリーな人々の“アイキャンディ=目の肥やし”となっている。今やファッション界では誰もがフェイス・ハンターを知っており、それをチェックすることは世界中の人々の生活の一部となった。トップショップやH&Mなどの大量生産された服に埋もれた中から、希少価値の高い個性的なファッションに身を包む人々を探すため、心地良い花の都パリを離れ、ロンドンへと宝探しにやってきたイヴァン。パリにいるファンのみなさん、心配することはない。彼はロンドンでもうまくやっている。人気は急上昇し、ブリックレーンの老舗べーグル店の奥の特等席に座っているようなおじいさんまでもがイヴァンの事を知っているのだから。

Face Hunter

でも、一体あなたはどれだけイヴァン・ロディックの事を知っているのだろうか。フェイス・ハンターに載せられた一枚の写真がどこまで彼のことを話し出すのかはわからない。だからあなたは学校やオフィスで、モデルを選びからポーズまで彼の写真はどうやって撮られどのくらいの時間がフェイス・ハンターを作るのにかけられているのか。どうしてイヴァンはあんなにハンサムなのだろう…などと妄想にふけて先生や上司が呼んでいることにも気づいていないに違いない。この記事はそんな2分43秒ごとにフェイス・ハンターをチェックし初めのコメントを残そうと目論む人や、夢見心地でMy Spaceのイヴァンのムービーを見てハイになりスイスチョコレートのようにとろけている人。はたまたイヴァンのトレーラーをYouTubeで探してはそのレートを上げるのに必死になっているような人達に捧げる。

Face Hunter

なぜこんなにも短期間でフェイス・ハンターの人気が急上昇したのか。その謎を解くべく私はイヴァンに出会った。イヴァンが現れた時、彼は狩の真っ最中だった。タイツに自分でドゥードゥルした人や、おもいきり油性ペンで顔にサングラスを書いてしまう子。電球をネックレスに変えてしまう不思議ボーイ。そんな人達を探していた。だけど彼は言う。『僕が欲しい物はサーカスなんかじゃない。』と。『FRUITSに現れるような1000個の異なるアクセサリーをジャラジャラつけたような子はいらない。』彼はシンプルでありながらひねりのあるスタイルを好み、それこそが彼の辞書のファッションに対する定義なのである。

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