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JR(ジェイアール)× ホセ・パルラ「ザ・ウィンクル・オブ・ザ・シティー:ハバナ・キューバ」

HAPPENINGText: Yuji Shinfuku

ハバナ、キューバから北米ニューヨークまで。歴史を内包し、そこに住む人の記憶が刻まれた都市の外壁とまるでコラボレーションするかのように、JR(ジェイアール)とホセ・パルラは独自の表現で世界を魅了する。

ジェイアールとホセ・パルラによる展覧会「ザ・ウィンクル・オブ・ザ・シティー:ハバナ・キューバ」は、ブライス・ボルコビッツ・ギャラリーにて開催されている。

ザ・ウィンクル・オブ・ザ・シティー・ハバナ・キューバ
The Wrinkles of the City, Havana, Cuba. Rafael Lorenzo and Obdulia Manzano, 2013. Acrylic and paper on canvas 72 x 144 inches

これはフランス人アーティストのジェイアールがシリーズで行っている「ザ・ウィンクル・オブ・ザ・シティー」の一貫で、2012年のハバナ・ビエンナーレにて街の外壁に作られた作品を写真に収めて再構築したものである。「ザ・ウィンクル・オブ・ザ・シティー」では人々のポートレイトを家をも覆うくらいの巨大サイズに拡大して現地の壁、屋根、階段などにはりつけるジェイアールが世界中で行っている活動で、これまでにスペインのカルタヘナ、上海、ロサンゼルスなどで行われてきた。

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The Wrinkles of The City, Havana Cuba. Alfonso Ramón Fontaine Batista, 2012. Color print on metallic paper mounted on aluminum 49 1/4 x 74 inches

ジェイアールは常にサングラスをかけた半匿名のアーティストにも関わらず、今までビル・クリントン、U2のボノなどが受賞した文化的に優れた世界を変えるアイディアを持つ人に与えられるテッド・プライズを2011年に受賞した今世界で最も波に乗るアーティストの一人だ。

もう一方のアーティスト、ホセ・パルラはマイアミ生まれ、ニューヨーク在住だが、キューバからアメリカに亡命した両親を持つ。ニューヨークのアートコレクティブ、バーンストーマーズの一員として活動していた彼の作風は、グラフィティーの影響を受けた曲線的なラインの抽象画で、既成の絵画のフォーマットにとらわれないスケールの大きさを感じさせる。

街の外壁からインスパイアされた彼の絵からはストリートとギャラリーの境界線を超えていこうという意思を感じる。ジェイアール、ホセ・パルラの作風、メッセージがとてもマッチして見えるこの共同作品からみるに、共にストリートな感覚を持った2人のアーティストのハバナでの邂逅は自然なことだったのかもしれない。

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The Wrinkles of the City, Havana, Cuba. Man with Jerry Can, 2012. Color print on metallic paper mounted on aluminum 49 1/4 x 73 3/8 inches

「ザ・ウィンクル・オブ・ザ・シティー」では常にその場所におけるなんらかの歴史的な背景を題材として扱っている。今回の「ザ・ウィンクル・オブ・ザ・シティー:ハバナ・キューバ」ではキューバ革命を生き抜いた老人達にインタビューしてそのポートレイトを元に作品を展開している。

「ザ・ウィンクル・オブ・ザ・シティー」は直訳すると「都市のしわ」という意味になり、世界中で行われているこのシリーズは世界規模で社会問題、人種問題を見直し改善していくためのきっかけとなる様な役割を果たすべく行われているといえるだろう。社会的背景、歴史的背景など重い題材を相手取った表現だが、そのアプローチはとても現代的かつスタイリッシュでそこが彼らの作品が支持を集める理由の一つといえるであろう。

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