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「アラン・フレッチャー:グラフィックワーク(そして遊びの)の50年」展

HAPPENINGText: Sayaka Hirakawa

たった一枚の紙の上に、それもポストカードサイズ、時にはもっと小さな名刺サイズだったりする。そんなにもちいさな空間に、線と形、カラーと余白、それだけで構成されうるものがある。そのシンプルさに、改めて驚かされる。そして、身の回りにあるあらゆるものが、その「グラフィックデザイン」という行程を経て存在するということ、そこに含まれる思惑について、思いをめぐらす機会となるかもしれない。

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アラン・フレッチャー:グラフィックワーク(そして遊びの)の50年」と、題された展覧会は、昨年9月に惜しくも亡くなった英国グラフィックデザインの草分け的存在である彼の、50年に渡る軌跡を辿る回顧展である。フォーブズやペンタグラムの共同創立者、またロイター、IBM、ポラロイド、ピレリ、ヴィクトリア&アルバート美術館などを、大きなクライアントとして抱えたアラン・フレッチャー。その作風はシンプルでエレガント、気がきいていてかつ遊び心に溢れている。

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企業のためのグリーティングカードから、ポスター、ブックカバーデザイン、パッケージデザイン、ステイショナリーなどプロダクトデザインと、数百にのぼる作品が展示されているこの企画展。デザインというものが、ただの仕事としてではなく、フレッチャーにとって人生の一部であったことを物語るように、妻のパオラにあてたポストカード、PAOLAという字体を使ってのコラージュなど、プライベートな一面を垣間見ることができるのも興味深い。

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入り口を入ると、ロンドンバスにプリントされたピレリ社スリッパの広告に迎えられる。ちょうど窓から見える乗客を上手に作品に取り入れたデザインには、感心する前にくすりと笑ってしまわずにいられない。そのとなりには、スリッパのノベルティとしてデザインされたスリッパホルダーがある。それはスリッパをくわえることのできるカードボードでできた犬の形のホルダーで、とにかくそのアイディアがかわいらしくて、スリッパを買ってしまった人も多かっただろうと思ってしまった。 

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