ファイヤー・ステーション
PLACEText: Mike Sullivan
サウスロンドン・ギャラリーは、1890年代から南ロンドンのペッカムを拠点としてきたが、2018年9月に古い建造物の中に新しくファイヤー・ステーションと呼ばれるアートスペースをオープンした。
© South London Gallery Fire Station, 2018, Photo: Johan Dehlin, Courtesy of 6a Architects
ロンドンはサウスロンドン・ギャラリーのような何十年と続くギャラリーや美術館、ギャラリーが市内に広がる素晴らしいアートと文化の中心地である。新たなギャラリーを開こうと探す誰もが古い建築物との共存やあつらえ用の土地をいかに探すかという選択に直面しなくてはならず、それも決して簡単なことではない。サウスロンドン・ギャラリーは、1867年に建てられた特別な建造物の寄付によって、ロンドンの歴史的価値を保ちつつ、もう一つのアートスペースを確保するという好機に恵まれた。
その建築物はロンドンで初めに消防署として建てられたもので、1920年代まで使用されていた。1934年から2007年までは食肉市場のオフィスと工場だったが、2008年からは使用者もなく、2014年にサウスロンドン・ギャラリーに寄付された時には荒れ果てた状態であった。
© South London Gallery Fire Station, 2018, Photo: Johan Dehlin, Courtesy of 6a Architects
新しくオープンしたアートスペースには、ギャラリー、スタジオ、保管倉庫、公共教育機関を備えている。以前消防署の用具が収容されていた地下は広いスペースとなり、本来緊急事態時のみにしか使われていなかった古いドアは屋外への開放を可能にした。可愛らしい建物の正面は昔のヴィクトリアン朝のランプがついており、「ENGINES (エンジン)」と表記がある。玄関はすぐ階段に繋がっており、それは新しくモダンであるが、素のレンガの壁との美しいコントラストを作り上げている。
全ての階の部屋は真っ白な空間へと変わり、すでに展示への準備は万端だ。このヴィクトリアンの建築物は蘇り、今後もロンドンのアートシーンを活気付けていくだろう。
ファイヤー・ステーション
開館時間:11:00〜18:00 (土・日曜日は10:00から、水曜日は21:00まで)
休館日:月曜日
住所:82 Peckham Road, London SE15 5LQ
TEL:020 7703 6120
https://www.southlondongallery.org
Text: Mike Sullivan
Translation: Hanae Kawai
Photos: Johan Dehlin, Courtesy of 6a Architects © South London Gallery Fire Station, 2018