セルフリッジズ100周年
HAPPENINGText: Sayaka Hirakawa
セルフリッジでの、始めての買い物は、ミューミューの小さなお財布だった。フューシャピンクのレザーと、ゴールドの金具が、ショウケースの中できらきらと輝いているような気がして、目が離せなかったのを覚えている。それ以来、バネッサ・ブリューノのリネンドレスが、マーク・ジェイコブズのニットトップスが、カート・ゲイガーのミュールが、サーカのウェディングアルバムが、その度、一目でそれと分かる鮮やかなイエローのショッピングバッグに収められ、わたしのワードローブに仲間入りする。その黄色いバッグを受け取る時の、ふつふつとしたうれしさ、それはこのデパートのみが提供できるスペシャルな瞬間に違いない。誕生100周年を迎えたセルフリッジから、連日この黄色が街へ飛び出し、ロンドンは今まさにセルフリッジイエローに変わろうとしている。
必需品を買うだけでなく、ショウを楽しむようなエンターテイメントとしてのショッピングを提唱した、ハリー・ゴードン・セルフリッジズが、このデパートをオープンしたのは1909年。当時から建物を取り囲むようデザインされたショップウィンドウは、その時々、注目のデザイナーによる斬新なディスプレイが話題となってきた。 記憶に新しい「ラスベガススーパーノヴァ」を始めとする過去のディスプレイが現在ウィンドウを飾り、再度道行く人々を魅了している。
中央エスカレーターを地階に降りると、100周年記念イベントが開催中だ。歴代のショッピングバッグがツリーのように飾られた展覧会ルームは、セルフリッジの歴史、数々のイベントや、ゆかりのセレブリティをたっぷりと紹介してくれる。
見逃せないのは、100周年を記念して発売されているバースデイプロダクツ。キーカラーであるイエローと黒を配したマーク・ジェイコブズのハンドバッグ、同じく2色を使いながら英国国旗をモチーフにしたアレクサンダーマックィーンのクラッチ、小物ではディプティックのキャンドルやモールスキンの手帳まで、祝福とリスペクトを込めて黄色にモデルチェンジを果たしている。
セルフリッジ100周年イベントは、8月31日まで続き、キャバレー、ライブ、ゲイビンゴ、ファッションショウなど、もりだくさんのイベントが開催されている。こんなパワフルで斬新な100歳なら、歳をとるのも悪くないなんて思ってしまうような盛り上がりである。
セルフリッジ100周年イベント
会期:2009年8月31日(月)まで
会場:Selfridges London
住所:400 Oxford Street London W1A 1AB
https://www.selfridges100.com
Text: Sayaka Hirakawa
Photos: Sayaka Hirakawa