デザインマイ 2006

HAPPENINGText: Ayako Yamamoto

ベルリンが、世界遺産、文化遺産でお馴染みのユネスコから「デザイン都市」に認定されていることをご存知だろうか?ユネスコの提唱するクリエィティブ・シティズ・ネットワークは、文学、映画、音楽、民族芸術、デザイン、メディアアート、料理の7部門で、それぞれ設けられた基準にあった都市を選んでいる。ベルリンは、その中のデザイン部門で、ブエノスアイレスにつぎ、ヨーロッパ大陸初の「デザイン都市」に選ばれた。その基準は、デザイン産業が確立していること、デザインや現代建築で満たされた文化的なランドスケープがあること、都市空間、バス、電車、駅、新聞、雑誌など特徴的な都市デザインがあること、デザイン学校があることなど。そして、デザインに焦点をあてた、展覧会、イベントなどが開かれることがあげられている。

そのベルリンで、2006年5月18日から21日にかけて、国際デザインフェスティバル・デザインマイが開催された。今年で4回目となるこのイベント、メイン会場となるのは旧鉄道駅を利用した9千平方メートルの巨大な空間だ。

そこで、80組を超えるデザイナー、建築家、アーティストがフィーチャーされた。都市環境や都市の問題を、デザインを通して探究しようというテーマのもと、4日間という短い期間だが、連日、都市デザインに関するシンポジウム、ワークショップ、実際にベルリンの街へととびだすバスツアーなどが行われ、濃密なイベントとなった。

20日土曜日のメイン会場は、午後からの雨、風にもかかわらず、老若男女大勢の人々で賑わった。作品の前で待機しているデザイナーに、熱心に話しを聞いている姿が多く見られた。

ベンチに先客がいるとき、座ることをためらうことはないだろうか? また、背後の景色が気になって、振りかえるために体をのけぞらせたことは? そんな気持ちを察するかのようなこのベンチ。まるで骨のように、ベンチを形作る木が一本、一本動き、どちらからでも座れるようになっている。人が立ちあがると、ウェーブを残す。トーマス・シュナイダーの作品。

デザイナーのトーマス・シュナイダーは、パブリックスペースにあるベンチの、『これがベンチだ!』という感じが気に入らなく、もっと人とベンチが馴染むようなインタラクティブベンチを作りたかった、と微笑む。素材も、人が座り、触れて心地のいい木を選んでいる。

『夜、人が家に帰り、誰も座っていないときには、このベンチは彫刻になるんだ。時には一直線で、時にはよりウェーブしていたり、毎日違う彫刻になるんだよ。』
今のところ、実際のパブリックスペースに置かれる予定はないが、これから購入してくれるところを探すとのこと。子どもにも大人気のこのベンチ。今後、どこかの街で見られることを望む。

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