デザインマイ 2006

HAPPENINGText: Ayako Yamamoto

天井の高い開放感のある空間に、コンパクトになる移動住宅が目にとまることが多かった。

身の回りのものだけを持って、都市を遊牧するように移動するのは、多くの人が持っている憧れだと思うが、実際にはなかなかできないだけに、より快適に、よりコンパクトにつくられた作品を前にすると、思わず溜息がでてしまう。

A96アーキテクツの作品。フォールディングボックスという作品の名の通り、大きな折り畳みボックスという感じ。

アルミフレームとドアがついているので、セキュリティーの面でも安心感を持て、キャンピングカーよりも快適そうだ。

ヴィンフリード・バウマンの都市ノマドのためのインスタントハウジング。ベッドになるだけでなく、物入れも充実しているのが印象的だった。

イギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アートの生徒の作品。二本足椅子。そっともたれかかる感じがかわいい。高さの調節ができないので、もたれかけるものによって座面が斜めになってしまう難点があるが、持って歩きたくなる作品だ。

このメイン会場とは離れて、ベルリンに拠点を置くデザイナーたちのものが実際に販売されたのが「デザインマイ・ショールーム」だ。通常は200人以上のデザイナーによる400以上の商品をオンラインで販売しているベルリンデザイン・ドット・ネットが、デザインマイに合わせて50人のデザイナーを選び、紹介した。ろうそくと花瓶が一体化したものや、パソコンのキーでつくったアクセサリー、家具、カバン、洋服など、アイディアいっぱいの商品の数々が展示販売された。

その他、3回目となるナイキ・プレイアワードも開催され、受賞作品が展示された。今回のテーマは、6月のワールドカップを控え、ずばり“フットボールのイノベーション”。見事一位を獲得したのは、オーストリア出身のヨーレグ・ディースルの「エゴ・サッカー」。競技場やテレビでボールの動きを見て、人々は一喜一憂するが、この作品はボールの視点で試合を見てみよう、というもの。

写真は、宅配ピザのボックスでサッカーゲームができるようなデザインにしたもので、ドイツのアンドレアス・マンデル。

21世紀になった今でも、相変わらず地球は地球の、都市は都市の問題をかかえているが、柔軟な発想を持つデザインの力で、街全体が明るくなるというモデルを、このイベントで示すことができたのではないだろうか。

デザインマイ 2006
会期:2006年5月18日(木)〜21日(日)
デザインシティ会場:リュッケンバルダーシュトラーセ 4-6
デザインヤングスターズ会場:シュレジッシェシュトラーセ
ナイキプレイアワード展示会場:フアルッケンスタインシュトラーセ 47-48
https://www.designmai.de

Text: Ayako Yamamoto
Photos: Ayako Yamamoto

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