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第4回 ベルリン・ビエンナーレ

HAPPENINGText: Yoshito Maeoka

さて展示の内容に話題を戻そう。今回のビエンナーレのメイン会場となるKW(クンスト・ヴェルケ)、以外にもアウグスト通りに点在する、廃校となったユダヤ人女学校、墓場、教会、郵便局跡、劇場、そしていくつかの一般の住居を舞台に展開される。


Bruce Nauman, Rats and Bats (Learned Helplessness in Rats II), 1988

導入部分となるKWから手短に詳細に触れていこう。チケットを提示し入った先にはブルース・ナウマンのインスタレーション。この部屋を抜けた先が広大なスペースになっており、ミヒャエル・シュミットの長き歴史に渡った多くの写真とトーマス・シュッテの彫刻、階段下にアイーダ・ルイヴォラの映像が並ぶ。


Thomas Schütte, The Capacity Men, 2005

この空間を後にするとミルチャ・カントルの映像作品、コーリー・マッコークル写真作品が続く。この先が上階に抜ける階段となっている。このようなフロア構成で、KWは地上階を含めて5階層となっている。


Oliver Croy with Oliver Elser, Special Models. The 387 houses of Peter Fritz, insurance clerk from Vienna, 2000

この他、この会場で印象的だった幾つかの作品について述べよう。まず、独特の空気を醸し出していたのはオリバー・クロイとオリバー・エルザーによる建築物の模型の作品だった。これらの一部は当初がらくた市で手に入れたものだと言う。詳細なリサーチをを踏まえた結果、これらは現実の建造物では存在する事の無い、構造比をしているという。一望するとあたかも街並のようでもあるが現実のヨーロッパの街並からは程遠い。


Florian Slotawa, Ersatzturm, 2006

このフロアには下フロアとの吹き抜けに家具で構成された巨大な立体、フローリアン・スロタワの作品が設置されていた。同じく家具をモチーフにした構成的な写真のリカルダ・ロッガンの作品と対になっていて、印象深い展示方法だった。


Gillian Wearing, Drunk, 1999

その上の階の、ジリアン・ウェアリングの映像作品も印象深かった。フロア一面を使い切り、壁に3面の映像を投影。映像は常に白い壁をバックにした男達が映っていた。彼らは時として喜びあったり、痛々しい表情を見せたりするものの、何れも酔いどれた様子である。それは時に彼らの内面を移したポートレートのようにも見えた。

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