「キャンプ・ベルリン」展

HAPPENINGText: Yoshito Maeoka

人は様々な理由により故郷を離れて移り住む。経済的な問題により新しい仕事を探すもの、戦争等の被災によりそこでの生活を余儀なくされるもの、あたらしく人生の発展を求めるもの。自分自身の尊厳と活動の為に拠点を変えた人と言えば、20世紀に活躍した著名なアーティスト、先にはパブロ・ピカソ、マン・レイ、サルバドール・ダリ、はたまたジョナス・メカス、ナムジュン・パイク等々。

キャンプ・ベルリン
シフン製作所《移動式お花見キット》2008

今回紹介する展覧会「キャンプ・ベルリン」は「マイグレーション(移住、移動)」をテーマとしたプラットフォーム型の展覧会で、広島アートプロジェクト実行委員会が主催の下、広島市立大学ベルリン・ヴァイセンゼー美術大学が共催する交換プログラムとなっているが、日本国籍を持つアーティストのおおよそ半分がドイツ在住のアーティストで構成されている点は興味深い。またおおよそ30を超える参加アーティストのほとんども“migration”した人としてテーマを体現している。

キャンプ・ベルリン
トーマス・アデバー、アンドレア・ツィマーマン、エンプファングスハレ(コルビニアン・ベーム+ミヒャエル・グルーバー)《仲間はどこから、仲間はどこへ-故郷の感覚-》2003-2006

率直にテーマに向き合った作品も多くあった。ドイツへ移住した人々の労働現場を長編のドキュメンタリー映像でつづったエンプファングスハレというアーティストデュオ、スペインにある移民達の働く農園を写真、およびそこで使われているビニールとコンクリートブロックを展示したラウル・ワルヒ。何れも問題意識の高い作品だった。

キャンプ・ベルリン
ラウル・ヴァルヒ《エル エジド 2007》2007

ラウル・ヴァルヒの作品にもう少し言及しておく。この写真に写った農園では主にドイツに向けて大量の作付けが行われており、この労働に従事するのはスペイン人ではなく主として南アフリカから来る労働者だという。そのような現実を間接的にこの展示から知らされる。

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