プレイス展

HAPPENINGText: Lotje Sodderland

その部屋の中心には、横長のガラスケースが置かれていて、スーツケースが旅中で集めてきた記念の品や切符や、ステッカーやセキュリティチェックのシールとともにぼろぼろになって帰ってきたスーツケースそのものが、無造作に展示されていた。まるでそれは、ワールドツアーを終えた後のスーパースターの、ドラムスティックケースみたいだった。

さて次の部屋へ。そこには、プロジェクトに参加したアーティストの住んでいる位置を示した巨大な世界地図が壁に広がっていた。それぞれの位置は、35のモニタとリンクしており、同時にそれぞれのコントリビューターによる映像作品がループで流されていた。その映像は、アーティストの住む街が、ごく個人的な視点で切り取られたものだった。

その向かい側にあった横長のガラスケースには、コントリビューターの名前とポートレートをのせた「パスポート」と、このプロジェクトのグローバル感をダイレクトに感じさせる品々や、アーティストのパーソナルな面を覗くことのできるものもあった。その横にあった暗い部屋は、ある人にとっては、うたた寝スペース、またある人にとっては映像作品を完璧なサラウンドスピーカーと大きなスクリーンで楽しめる場所になっていた。

展覧会の最後の空間には、それぞれのアーティストによってカスタマイズされたTシャツと、本から抜き出されたイラストレーションが展示され、プロジェクト全体をビジュアルでもう一度振り返ることができた。オリジナリティと強さを持つアートワークが、申し分のない方法で展示され、完成度の高い展覧会だった。驚いたのは、“場所”というテーマが、文章では、ビジュアルでの表現ほど大きな差がなかったことだ。この展覧会では、その共通項によって、地理的な違いの中にあるデザインの流れが持つパワーや、インスピレーションとしての物理的な“場所”が証明されていたように感じる。

グラフィック作品と、このプロジェクトが巡回した街についてのショートストーリーが収録された書籍がアクター出版から発売されている。

PLACE Exhibition
会期:2004年11月23日〜12月12日
会場:CCCB
住所:5 Montalegre, 08001 Barcelona
TEL:+34 93 306 4100
https://www.place.carochejeans.com

Text: Lotje Sodderland
Translation: Naoko Fukushi
Photos: Lotje Sodderland

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