DAF東京 2003

HAPPENING

デジタルアートを通じて人と人とが出会い、何かを創り出していく「ミーティングプレイス」となることをめざす「デジタルアートフェスティバル東京(以下DAF東京)」。東京・有明パナソニック・センターを会場に、8月8日〜17日にわたり、パフォーマンス、展覧会、シンポジウム、映像作品上映会といった多様なプログラムのもと開催された。今回のレポートでは、その中からクワクボリョウタとクリスピン・ジョーンズによる「東京ガジェット展」と彼らのトークセッション、およびテレビ番組のベストセレクション作品による「デジスタ展」の内容を中心にお届けする。


まず「東京ガジェット展」。会場に入るとすぐに手に取れるのが、デバイス・アーティスト、クワクボリョウタの「BITMAN」。これはDAF東京の参加アーティストの一人でもある「明和電機」との共同製作によるデバイスで、手に取って振ったり傾けたりすることで、中の「BITMAN」とのインタラクションを楽しむことができる。

その隣には、テレビのRCA端子に差し込むだけで映像が出てくる「ビデオバルブ」が、テレビに刺さった形で展示してあった。その他にも会場には、自分が机をたたくと答えてくれる卓上パーカッションの「デューパールーパー」、2002年のアルスエレクトロニカの受賞作でもある半対戦形のゲーム「ピー・エル・エックス」、卓状ゲーム機形のアニメーション製作デバイス「ビットハイク」、転がしたり、投げたりして楽しむ、ビーチボール状の音楽生成デバイス「ヘブンシード」、円盤型の電光掲示板をつかった対戦装置「ループスケープ」、と彼がこれまでに開発してきた様々なデバイスたちが、説明が書かれたメンコ状のカードと一緒にずらりと並んでいた。訪れていたたくさんの人々が初めはとまどいながらも、次第に楽しそうに、でもちょっと不思議そうに遊んでいたのが印象的だった。

奥に進んで行くと、クリスピン・ジョーンズの5つの作品が展示してある。1つ目は「ソーシャル・モバイル」。これはIDEOとの共同製作によってデザインされた、いろんな意味で人を気づかわせる携帯電話。ガラスケースの中に展示してあったため実際に手に取ることはできなかったのだが、その脇では使用風景を描いたユーモラスなビデオが上映されていた。

次は「ZXZX」。これは、僕らの世代の日本人なら大体知っているテレビゲームの「連射」を肩代わりしてくれるデバイス。実際に動いている姿を見ることはできなかったが、ビデオの中でプレイしているゲームでは、凄い記録をだしていた。

「インビジブル・フォース」これは、彼がRCAの卒業制作として制作した作品で、占いに答えてくれるテーブル。答を得るためには熱くなる鉄板に耐えなくてはいけない。

もう一つの作品「Electrophile」これはメールソフトなのだが、キーボードに電極がついていて、文章が長くなるにつれ、電気ショックが強くなっていく。思った以上に強い電気が流れるこの作品。実際に僕が見に行ったときは、初老の男性がメールを書いていたのだが、ちょっと心配だった。

最後の「F17」これは、最寄り駅に電車が近付くと靴がばたばたと騒ぎ出す、という作品。見ている間にもカタカタと何回か動いていて、めったに電車のこないような田舎駅なんかにあったら面白いだろうな、と思った。日常生活でおきる出来事に刺激を伴わせたり、ちょっと視点をずらすことで、疑問を投げかけるといったスタイルの彼の作品。単純に楽しむこともできるけど、それだけには留まっていないところが興味深かった。

さらに彼らのトークセッションでは、2人の共通点としての幼いころのコンピュータとの出会いと学校で学んだ美術の影響、作品制作時のコンセプトとテクノロジーとの関係、今回の「DAF東京」での展示について、といった話題が話された。テレビ放映されるということで、拍手の練習をさせられたり、音が聞き取りづらかったり、とちょっとした不満はあったものの、クワクボリョウタの『作品展示はレースみたいなもの、修理するのは、ピットイン』というコメントや、『イギリスから見ると、日本にはコミュニティーもあるしエキサイティングだ』というクリスピン・ジョーンズの興味深い意見を聞くことができたのは、大きな収穫だった。

続いて、隣の会場で開催されていた「デジスタ展」。これは、NHKで放送中のデジタル・アートの公募・審査・批評番組「デジタル・スタジアム」の受賞作と、グランプリ受賞作家の作品を展示するもの。会場に入るとまず、2000年度のデジスタアワード受賞作家である「AC部」が、お祭りっぽく飾りつけたブースの中で映像作品の上映を行っていた。その隣には「鈴木康広」の、空中に巻き上げられた紙がまばたきをする「まばたきの葉」と、回転するジャングルジムに映像を投影した「遊具の透視法」が展示してあった。すっきりとしてきれいな印象を受ける彼の作品。今後どのような作品が生み出されるのか楽しみだ。

さらにその奥には、中居伊織の「ストリートスケープ」が展示してあった。地図の溝をなぞることで、街の音を聞くことのできるこの作品、今回は、パリ、京都、浜松、有明、山口、仙台の計6都市の音を体験することができた。今年のアルスエレクトロニカの受賞作でもあるこの作品。リンツではどのような音を聴くことができるのだろう。この他、ホワイエでは、デジスタベストセレクションとして受賞作の数々を自由に見ることができるようになっていた。

今回の「DAF東京」では、先ほども述べた明和電機、メディア・アーティストの岩井俊雄、映像作家の吉浦康裕、アニメーション作家のヴォイテク・ヴァフシチェックが参加し、それぞれパフォーマンスや映像上映を行っていた。強く影響を受けているであろうアルスエレクトロニカと比べると、批評や交流といった点で、まだ物足りない感じもするけれど、会場を訪れた人にとっては、テクノロジーとその表現とに直に触れ、体験する良い機会となったのではないだろうか。

来年以降も引き続き行われる予定の「DAF東京」。より多種多様な視点、立場を結びつけ、ヨーロッパやアメリカとは異なる、日本ならではの要素を生かした独自の展開を期待したい。

DIGITAL ART FESTIVAL TOKYO 2003
会期:2003年8月8日(金)〜17日(日)
会場:パナソニックセンター
住所:〒135-0063 東京都江東区有明2丁目5番18号
TEL:03-3481-7980
info@daf-tokyo.jp
http://www.daf-tokyo.jp

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