プロファイル・インターメディア5

HAPPENINGText: Daniel Goddemeyer

「コントラスト(差異)」というテーマの下開催された今年のプロファイル・インターメディア5。クライアントが求めている目的とのコントラスト、アーティストが作品を作り出す上でのコントラスト、またその作品がどのようにオーディエンスには映るのかというコントラスト。様々な物事の中に発生するコントラストについてのアイディアに焦点が当てられた。

今回のカンファレンスが行われたのは、ドイツ北部の街、ブレーメン。12月6日から8日までの間、アメリカのデザイン・エージェンシー、ウィー・ワーク・フォー・ゼムブランニュー・スクール、イギリスの商業デザインの伝説的スター、ロン・アラッドファブリカのオマー・バルピナーリ、UNAデザインのニック・ベルなど、輝かしいゲストが勢ぞろい。その他にもドイツのクロンベルグで活動する商業デザイナーのダイエター・ラムズの姿も見受けることができた。彼は、ブラウン社の社章と商品のデザインを手掛けている人物だ。

いわゆる「通常のカンファレンス」と今回のイベントの大きな相違点は何かと言うと、それは、ブレーメンにある芸術大学の生徒が、このイベントを運営しているということである。この点については、今年参加しているスピーカー陣の顔ぶれを見ていただければ明らかだろう。

私が会場に着いたのは金曜日。おそらくその日の前半は、長く会っていなかった者同士の再会など、顔合わせが行われていたのだろう。メインホールでのレクチャーの他にも、ワークショップも開催されており、一日中どれにでも参加することできた。初日に登場したスピーカーはオマー・バルピナーリと、ベルリンの雑誌ロー・ダウンのトーマス・マレッキー。2人の生徒をお供に、オマーはファブリカで行われたプロジェクトや、彼の生徒が昨年行ったプロジェクトの成果を発表した。

レクチャー終了後、ギャラリースペースで行われていたワークショップでは、定員の規制はあったものの、中身の濃いディスカッションが行われていた。ウィー・ワーク・フォー・ゼムのワークショップでは、片やミネアポリスの西部にある街に住み、もう片方はアメリカ東部のボルチモアという、お互い違う場所に住んでいながらも、マイク・ヤングとマイク・シーナの素晴らしいワーキングスタイルが紹介されていた。

土曜日の目玉となったのは、ロン・アラッドのレクチャーだろう。彼が制作した「ヒット商品」だけではなく、今までの経験の中でおかしてしまったミスまで発表してくれた。彼の話し方やプレゼンテーションの進め方が素晴らしいだけではなく、テーブル、椅子といった彼が手掛けたインテリアデザインも目をひくものばかりであった。

スピーカーによるレクチャーを受け、充実した一日を過ごした後に待っていたのは、やっぱりパーティー。すでにカンファレンスの会場で目にしたことにあるスピーカー達ばかりだったが、その場でも彼らの話はとても興味深いものばかりであった。パーティーが行われたのが、古いサーカステントであろうと、音楽やDJを選んだのが誰であろうと、そんなのはどうでもいい。カンファレンスでは特に、メディアに対するデジタルや、テクノロジーの未来といった、これからのことについて話し合われていたが、それとは逆にその日の夜のDJは「YMCA」や「RESPECT」といった昔のヒット曲を流していた。どちらがその場に合っていないのだろうか?そんな疑問が私の中に過った。

日曜日にプレゼンテーションを行ったのは、ダイエター・ラムズ、ウィー・ワーク・フォー・ゼム、ブランニュー・スクールの3組。ダイエター・ラムズは、60年代後半の装いで登場。ラムズの様々な表情が垣間見れる彼のレクチャーは本当におもしろかった。

高額なチケットが、来場者数を制限していたのではないかという気がしないでもないが、今回のこのブレーメンの週末は、本当に充実したものであった。プレゼンテーションが常時一つしか行われていたなかったのは、あまり良くなかったのではないだろうか。そのお陰で、例えば見てみたいスピーカーが何人かいた場合、待ち時間が大量に発生してしまうからだ。サポーティング・プログラムもあまり上手く作動していなかったように思う。試み自体は素晴らしいものなので、次回以降に期待したい。

The Profile Intermedia 5
会期:2002年12月6日〜8日
会場:Messe Centrum Bremen
住所:Messe Bremen GmbH, Buergerweide, D-28209 Bremen, Germany
TEL: +49 (0)421 27 7860
http://www.profile-intermedia.de

Text: Daniel Goddemeyer
Translation: Sachiko Kurashina

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