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エヴァン・ヒーコックス展「トーキョー:トラベル・ビジュアローグ」

HAPPENINGText: Benjamin Roy

スケートボードは芸術だ。
技術だ。そして文化だ。
その創造力が途切れることはない。
絵筆は絶えず駆け続ける。

ここに見るキャンバスはコンクリートの彼方の一時的世界に進化したもの。そのモチーフは一貫している:分離、革命、欲望、無関心。この作品達には「都市」と同じ官能と凶暴が潜む。


Evan Hecox

メインの部屋ではガール・チョコレート・スケートボードのグラフィックなどで知られるエヴァン・ヒーコックスが「トーキョー:トラベル・ビジュアローグ」と題し、東京の日常風景を器用なドローイングで披露。何気なく見逃してしまいがちな日々のディテールが白黒、そして赤のテキストでミニマルに、しかし忠実に表現される。どこか懐かしさを醸し出すヒーコックスの作品達をみな引き込まれるように見入っていた。

二つ目の部屋では5人のサンフランシスコを拠点とするアーティスト達による「FROM THE TRENCHES(塹壕より)」。グラフィティ界でも名を馳せるクリス・リンディグ率いるメンバーは、マーク・ゴンザレス、キーガン・マクハーグ、シェイ・ノウィック、そしてスクーター。アイディアやメディアも街と同じように雑多さを示唆している。


Chris Lindig

故意的に醜い絵。有史以前の文明社会と現代の女王制を結んだところに見いだされたクリス・リンディグの表現の場では美しき恐怖、男のエゴを見せつけられる。リンディグの嘲りがはっきり読み取れる作品には、そのエゴに何らかの平和を見つけることを強いられる女の失望ヘの同情もが込められている。


Mark Gonzales

遊びほうける子供。そう呼ぶにふさわしい制作スタイルのマーク・ゴンザレスだが、その遊び心いっぱいな作品達でも絵筆の運びは強く確か。粗雑な青写真というか未完成の天才技。わざと綴りを間違えた言葉達。計画性は一切なし。ゴンザレスの描く人の眼差しには魂が込められ、まるで認識を哀願するかのように鑑賞者を捕まえる。地球上に見られるハートと卑下の行き着くところはここなのか。ここではゴンザレスのビデオも上映。シェリル・ダンなどの映像作家とのコラボレーションでもしられるゴンザレスだが、ここではシニシズムと遊び心の王者、スパイク・ジョーンズが撮影を担当。自分のアートを身にまとい街をスケートボードで駆け抜けるというこの作品、やはりジョーンズのシンプルなプロデュース力が光る。

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