エバン・ヒーコックス展

HAPPENING

スケートボードは芸術だ。
技術だ。そして文化だ。
その創造力が途切れることはない。
絵筆は絶えず駆け続ける。

ここに見るキャンバスはコンクリートの彼方の一時的世界に進化したもの。そのモチーフは一貫している:分離、革命、欲望、無関心。この作品達には「都市」と同じ官能と凶暴が潜む。

メインの部屋では「GIRL-CHOCOLATEスケートボード」のグラフィックなどで知られるエバン・ヒーコックスが「TOKYO: VISUAL TRAVELOGUE」と題し、東京の日常風景を器用なドローイングで披露。何気なく見逃してしまいがちな日々のディテールが白黒、そして赤のテキストでミニマルに、しかし忠実に表現される。どこか懐かしさを醸し出すヒーコックスの作品達をみな引き込まれるように見入っていた。

二つ目の部屋では5人のサンフランシスコを拠点とするアーティスト達による「FROM THE TRENCHES/塹壕より」。グラフィティ界でも名を馳せる(SLEAZER)クリス・リンディグ率いるメンバーは、マーク・ゴンザレス、キーガン・マクハーグ、シェイ・ノウィック、そしてスクーター。アイディアやミディアムも街と同じように雑多さを示唆している。

クリス・リンディグ
故意的に醜い絵。有史以前の文明社会と現代の女王制を結んだところに見いだされたリンディグの表現の場では美しき恐怖、男のエゴを見せつけられる。リンディグの嘲りがはっきり読み取れる作品には、そのエゴに何らかの平和を見つけることを強いられる女の失望ヘの同情もが込められている。

マーク・ゴンザレス
遊びほうける子供。そう呼ぶにふさわしい制作スタイルのゴンザレスだが、その遊び心いっぱいな作品達でも絵筆の運びは強く確か。粗雑な青写真というか未完成の天才技。わざと綴りを間違えた言葉達。計画性は一切なし。ゴンザレスの描く人の眼差しには魂が込められ、まるで認識を哀願するかのように鑑賞者を捕まえる。地球上に見られるハートと卑下の行き着くところはここなのか。ここではゴンザレスのビデオも上映。シェリル・ダンなどの映像作家とのコラボレーションでもしられるゴンザレスだが、ここではシニシズムと遊び心の王者、スパイク・ジョーンズが撮影を担当。自分のアートを身にまとい街をスケートボードで駆け抜けるというこの作品、やはりジョーンズのシンプルなプロデュース力が光る。

キーガン・マクハーグ
衝突と困惑がこの苛立つスケッチのセンターステージに同居する。黒、赤に白、そして点とらせん、線とジレンマ。これら全ての要素がぶつかり合うなかで人の頭上に無意識に蒸発していく思いが見事に描き出される。

シェイ・ノウィック
忍者とウサギ、純真な殺し屋。ノウィックの印象的な作品達は鮮やかな色に溺れ、鏡のような光沢フィニッシュが施されている。他のアーティスト達と同様に技能と構成は、二の次で感情的レスポンスを全面に出すことが強調される。ここに読み取れるのは殺意でさえも純真は守るということか。

スクーター
現実的な都会の家々は物悲しく静かにたたずむ。陰気な茶色は冬季の日昇を示唆。この風景はベージュやピンクの反射影で明るさを足され、明日への希望を肯定する。サンフランシスコの町並みのシルエットがスクーターの作品へ及ぼした影響は明らかであるが、自身の心象風景を街の退廃のなかから見つけてきた木片に描くことで意図的に街へ何らかの還元をしているように思われる。

停電に見舞われ暗闇これらのの中でのオープニングとなった11月9日。当初オープニングで演奏予定であったレイ・バービーも急きょ演奏を断念。ギャラリーサイドの「アートを明るいところで見てもらいたい」という呼びかけにバービーも2週間後にバンドを連れて駆けつけた。自身もプロスケートボーダーであったバービーだけに、展示スペースへの貢献は言わずもがな。

苦悩的かつ同情的なこれら作品達は、見逃されがちな世界が、そこに生きながらにして傍観者と化身するアーティスト達によって喚起される。

Evan Hecox “Tokyo: Travel Visualogue”
“From The Trenches” Curated by Chris Lindig

会期:2002年12月9日〜30日
会場:New Image Art Gallery
住所:7906 Santa Monica blvd. #208 Los Angeles, CA 90046
TEL:(323) 654-2192
newimageart@aol.com
www.newimageartgallery.com

Text: Benjamin Roy
Photos: Aya Muto from New Image Art Gallery

【ボランティア/プロボノ募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
コントワー・デ・コトニエ公式通販サイト | 2016 SUMMER SALE
MoMA STORE