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クリスチャン・ボルタンスキー展「ノー・マンズ・ランド」

HAPPENINGText: Carlos J. Gómez

今こそ生後3ヶ月の息子に、初めて巨大なアートインスタレーションを体験させる絶好のチャンスだ、と私は決意した。その機会とはクリスチャン・ボルタンスキーの「ノー・マンズ・ランド」。30トンもの古びた衣服がパーク・アベニュー・アーモリーの巨大な稽古場を埋め尽くすインスタレーションだ。

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ホールに入っていくと最初に目につくのが、錆び付いたビスケットボックスの数々からなる重々しい壁。これよって壁の向こう側へのアクセスが複雑になっている。そして次に耳をつんざくような心臓の鼓動音が空間を取り囲み、メインホール内部へと誘う。床の上の洋服を囲む杭には拡声器が取り付けられ、そこからそれぞれ異なった心臓音が繰り返し発せられている。折り重なる心臓音は心を落ち着かせるとともに、単調さをやわらげる。幼い息子は、すやすやと眠りはじめ、私はリラックスしてこの旅を楽しむことにした。

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壁の通路を抜け出ると、メインホール内の空間は、まるで夢の中。もしかして私も眠りに落ちたのか?想像してみてほしい、ツェッペリン型飛行船やDC-10ジェット旅客機が入るほどの巨大なホールに、碁盤の目状に着古された洋服が並び、床を埋め尽くしている光景を。

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