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MEX(日欧メディア・エクスチェンジ)2001

HAPPENINGText: Andrew Thomas

東京の郊外にあるスタジオで行われた3時間に渡るライブのウェブ中継や、アクシス・ギャラリーでのインタラクティブ/コンピューターグラフィックアーティストによるグループ展といったイベント、MeX 2001 が開催された。MeX(オンライン/オフライン・メディア・エクスチェンジ)は、日欧の様々な分野で活躍するアーティスト間における、コミュニケーション、ディストリビューション、クリエイティブ・コラボレーションのチャンネルを確立する目的において発足した。

このプロジェクトをプロデュースした伊藤裕美は、キュレーターやアドバイザーと共に関連プロジェクトを企画。また彼女は、このプロジェクトの間、メディア・エクスチェンジで作品展時を行うウェブやビデオをベースに活動するデザイナー、ディレクターのコーディネートを行う傍ら、インフォメーションのアクセスを可能にするために言語の壁を取り払ったり、プロモーションやサポートの広いネットワークを作り上げた。

MeXのオープニングを飾ったウェブ中継イベント、「MeXビジュアル・オープン・スタジオ・ライブ」は、川崎、蒲田の日本工学院専門学校にあるテレビ・スタジオで開催された。このイベントは、躍動的な和太鼓とダンスパフォーマンスにより、MeX 2001 の開始を告げて始まった。

TVアートのバラエティプログラムのベーシック・フォーマットを用いたライブフォンとウェブカメラのリンクが、ヨーロッパにいる多くのクリエイター間にセットされ、彼らによる作品の簡単な説明と、東京スタジオにいるゲストのインタビューを中継。東京に拠点を置く漫画とアニメのサイト、マンガズー・ドット・コムのプレゼンテーションの一環で、新海誠のアニメーションフィルムや、フランス、リールを拠点にしたチマンで活動し、現在オンライン・インタラクティブ・ゲーム「バンジャ」の日本語バージョンの制作や世界中のあらゆる場所で開催するウェブデザインイベント、ベクターラウンジをプロデュースしているオリバーによるディスカッション、その他明和電気による、音波技術を使ったばかばかしい爆発音パフォーマンスなどが、このイベントのハイライトとなった。

MeX 2001 と連携したプロモーションイベント、「ザ・イースト・ミーツ・ザ・ウェスト」展は、六本木のアクシス・ギャラリーで開かれた。この展覧会は、国際的なイベントである、シーグラフ、アルス・エレクトロニカミリアに出品・受賞した5人の日本人クリエーターをフィーチャーしている。CGディレクターの森野和馬が、ケン・イシイとのコラボレーションにより、スペースシャワーTVのためにストライプファクトリーから発表したアニメーションは、奮闘している金属製のレスラーと走り続けるランナーのモチーフを使い、ボディーとモーションを探究するような作品となっている。大石暁規の展示作品「ミクロ・プランテーション」は、もともと携帯電話向けのアニメーションコンテンツとして開発されたもので、モノクロのブロックとキャラクターがユーザーを魅了。大石のもう一つの展示作品は、ユーザーの操作によってインタラクティブかつ有機的に動くアニメーションを用いた、折り重なる都会の風景で構成されている。明らかに、今回展示された若手アーティストのインスタレーションに含まれる、多くのインターフェースには、商業的な利用が潜在している。そうすることによって、マルチメディアクリエーターたちは、岩井敏雄のように成功と発見を競うことができるのだ。

このMeX2001の目的とインスピレーションについて、伊藤裕美さんにお話を伺った。

まずはじめに、自己紹介お願いします。

フリーのメディアエクスチェンジプロデューサーとして、ヨーロッパのCG短編映画やアニメーターなどを日本に紹介しています。また、日本からも映像や有望な作家をヨーロッパに紹介しはじめています。このような仕事を始める前は、「エリアス・ウェーブフロント」という3DCGソフトウェア開発会社のアジアパシフィック担当マーケティング・コミュニケーションズ・マネージャーをしていました。

MeX 2001について教えて下さい。何から着想を得たのですか?また、このプロジェクトの目的はなんですか?

MeXは、映像に関わるクリエイタや関係者のエクスチェンジを促すためのプラットフォームです。相手を知り、自分を紹介し、コラボレーションの機会を探る。つまり、新しくクリエイティブなコンテンツを生み出すためには、まず互いを知り合うことからです。

私事ですが、エリアス・ウェーブフロントで働いていた頃から、国外のCG作品を見る機会がありました。常々感じていたのは、日本の様々なCGクリエイターの存在が、国外では一般観客だけでなく、関係者の間でも、国内で予想しているほど知られていないということでした。そして、フリーになりヨーロッパのCG映像関係者や若手クリエイターに接する機会が増えると、クリエイティブな日本人の力が認識されていないのは、アピールの仕方が悪いことが原因だと気付いたのです。一方、ヨーロッパの関係者(CGやアニメーション映像)の中には日本と仕事をしたいと望んでいる人が結構いることを知りました。

また日本のアニメ、ゲーム、マンガといったサブカルチャーが大好きで、日本の文化に敬意を抱いてくれている、日本で働きたいと望んでいる若い人たちが育っていることも知りました。しかし、彼らは誰に(どこに)アプローチして良いか分からない。日本には、入り口が見えない壁があるようです。つまり、日本語という言葉の壁だけでなく、日本ではコネ(人脈)が大切にされます。仲間だけでかたまり、仲間内で通じる言葉で自分たちの流儀で仕事をすることを好む関係者が多いようです。まして、コンテンツやプロジェクトを取引できる見本市が公にない。

そこで、コンテンツやクリエイター、プロジェクトやコンテストの機会をエクスチェンジするプラットフォームを始めようと思い立ちました。MeXが、コンテンツ見本市を始めよう!という機運のきっかけになってくれれば最高です。

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鈴木将弘
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