セクシュアル・エクスプレス 2001
HAPPENINGText: Terevision Ruiz
Carles Congost, The Amateur, 2001 © Carles Congost
最も不健全で、面白くて、知りたいことって何だろう? 株の情報? 2004年のオリンピック?温室効果ガス? みんなもっと正直にならなきゃ。僕達がみんな興味を持っている物が一つあるでしょ? セックスが。DJのザビエル・アラキステインと、ライター、フリーオーガナイザー、芸術評論家で隔年の様々な展覧会のアーティスティック・ディレクターも担当しているローザ・マルティネスが委員を務めるこの展覧会のメインテーマは、セクシュアル・アイデンティティとセックスだ。彼らは、このテーマを探るべく、世界中から24人のアーティストによる作品を発表した。テーマの問いかけに対するショッキングな側面だけでなく、質問することをタブーとされてきた権利にまでスポットを当てる道具としても成り立つ展覧会になっている。
Rivane Neuenschwander, Belong – Not Belong, 2001 © Rivane Neuenschwander, Collection of the Linda Pace Foundation
展覧会の目的達成のためにザビエル・アラキステインとローザ・マルティネスとの会話から始まるカタログも発行された。ここには、セックス、愛、そして生殖に関する対話が収められている。セックスのコンセプトは、生物学的なところに根本があり、人間は生殖器により男と女に分けられる。彼らは、男(=勇ましい)ヘトロセクシュアル、女(=しおらしい)ヘトロセクシュアルという図式を、ヒトの「自然な」原型であると信じさせようとしているかのようだ。そうすることによって彼らは、人間の野性的な部分を探究しているこの展覧会に私達を導いているのだ。これまで、セックスの志向は個人の決定によるもので、性別やジェンダーに関係ないというのが、誰もが理解してきた(あるいは理解しなければならなかった)ことだが、性的、社会的アイデンティティ。黒か白か。そういった闇が他にも存在している。
Tracey Emin, I’ve Got It All, 2000 © Tracey Emin
この展覧会が開かれたアート・サンタモニカ・センターは、港の近くの飛び地ランブラス通りの端に位置している。近くには、バーや売春宿があり、異性用の服を着ていたり、売春している様々な男女が入り乱れている。そのため、この展覧会は、ここの環境と相互関係にあるといえる。
展示作品は、アーティストが示しているだけの多様性を持っている。アナ・ローラ・アラエス(スペイン)は、「ブラセル(売春宿)2001」と題したインスタレーションを発表。東洋美的に装飾された寝室は、『セックスとリフレッシュして夢を見るのに、心地いいバックグラウンド』だと彼女は言う。私的、そして喚情的な世界。トレーシー・エミン(UK)は、写真と「時にドレスはお金以上の価値があり、お金以下の価値がある」というお金の持つパラドックスを快楽として描いた映像作品を出品。リヴァン・ノイエンシュワンダー(ブラジル)は、せっけんの泡の中を進むカブト虫の写真で、愛のはかなさを示した。これらは、展覧会で見ることのできる作品の、ほんの数例にしかすぎない。展覧会では、このように感情をひどく呼び起こされるのだ。
Trans Sexual Express Barcelona 2001: A classic for the third millennium
会期:2001年6月27日(水)〜9月30日(日)
会場:Centre d’Art Santa Monica
住所:7 La Rambla, 08002 Barcelona
TEL:+34 935 67 1110
https://artssantamonica.gencat.cat
Text: Terevision Ruiz
Translation: Naoko Ikeno
Photos: Courtesy of Centre d’Art Santa Monica