日欧メディア・エクスチェンジ MEX 2001

HAPPENINGText: Andrew Thomas

どのようなプロダクションやイベントを計画していますか?

まず、Eショーケースというプロフィール公開サイトが、MeXのウェブサイトにあります。これは、クリエイターやスタジオが自己紹介できるサイトです。(登録無料、更新回数無制限)またコンテストやイベントなどクリエイティブな人たちを必要とする団体や会社もアピールできます。このEショーケースから、興味あるパートナを見つけて、新しいことを始めるきっかけを作って欲しいと期待しています。また、MeXはEショーケース登録者が何かをしたいと思った時に、できる範囲で手助けをしたい、とも思っています。

それから、ヨーロッパのCG短編映画を上映するビデオ上映会を行います。これは、東京の短編映画館トリウッドで11月に興行します。さらに、地方でも鑑賞してもらえる機会を作る予定です。たとえば、各地のインターネットカフェでアーカイブ化された映像を見てもらうとか。一部の上映作品は、MeXのウェブサイトで公募する予定です。

さらに、9月には幕張の「WORLD PC EXPO」でフィルムギャラリーを行います。これは、アンシー国際アニメーション・フェスティバル事務局と「WORLD PC EXPO」のご協力を得て、アヌシー2001の優秀作品集めた短編映画上映会です。

11月くらいには、MeXのクロージング・イベントとして、インターネット生中継を交えた日欧エクスチェンジ・イベントを考えています。その前に、ヨーロッパでブレイクしている「バンジャ」というウェブコミュニティのキャラクターを用いたアニメーション・チャンピオンシップをウェブ上で行う予定です。クロージング・イベントで、チャンピオンの表彰会を行います。これらのプランは、MeXのウェブで情報を公開していきます。

アート、デザインで特に好きな分野はありますか?

特別に興味がある特定のジャンルはありません。それに、わたしはアートの歴史(誰が、いつ、何を創作したか)にも興味はありません。コンテンツを観る時に大切にしているのは、それが人の心を動かす力を持っているかどうか、です。ただ美しいだけ、ショッキングなだけ、目新しいだけ、あるいはリアルなCGである、というのには興味はありません。心を動かすことができるエネルギーを発しているコンテンツを見出したい、そのようなクリエイターたちが成功する手助けをしたい、と個人的には望んでいます。

どのような事、人にインスピレーションを受けますか?

子供の頃から、日本の落語とフランスの映画が好きでした。コンテンツへの関心を持ったのは、それらの影響でしょうか。映画は、アメリカ映画はB級でもC級でも大量に出回っているのに、他の国の映画を観る機会は少ないですね。これは、日本だけの現象ではないでしょう。それは、ここ数十年間はコンテンツ流通が資本力ある人たちが握ってしまったためではないでしょうか?アメリカ流の映画だけがエンターテイメントではないでしょう。エンターテイメントというと安っぽい戯言みたいな印象もありますが、わたしは幸せの方向に心を動かせるコンテンツがエンターテイメントの真髄だと思っています。ある一定方向だけのエンターテイメントには飽きが訪れるでしょう。

これからすぐに行う予定のものはありますか?

MeX 2001は11月末くらいに完了させます。というのは、事務局は全員ボランティアで動いていますので、長期間の活動は負担が大きすぎるのです。しかし、来年2002年には日欧に限定せず、日本と交流したい世界中のクリエイティブな人たちのためのプラットフォームを再開させたい、と希望しています。そのためには、活動を支えてくれるスポンサーや公の組織が必要です。

今年は、フランス大使館文化部、ドイツ文化センター、フィンランドセンターの皆さんがMeXを後援してくれています。そして、私企業の方々も物心両面のサポートをしてくれています。来年は、もっと多くの人たち、特に日本の公的機関にもMeXを正式に応援していただきたい、と心から望んでいます。もちろん、活動資金の援助は大歓迎です。

グローバルデザインコミュニティに対し、メッセージがあれば聞かせて下さい。

日本人には言葉の壁があります。それが原因で、日本語圏(仲間)以外の人たちと交流するのに臆病になる人も沢山います。でも、“仲間の外”の人たちと交流して、新しいことを始めてみたいという“野望”を持つひとたちも大勢いるのです。お互いの文化や創作意欲を尊敬しつつ、心を動かすコンテンツを生み出して行きましょう。

ブロードバンド・インターネットという新しい伝達と交流の手段をわたしたちは手に入れようとしています。このツールを最大限に活かせるようなコンテンツを創造していきましょう。そして、クリエイティブな人たちが本業で生活し、成功して行けるようなビジネス・プラットフォームを作って行きましょう。

日本では、「アートで食べて行けない」と言われます。でも、ヨーロッパではアートで食べている人たちが大勢います。やってやれないことはないのです。

日欧メディア・エクスチェンジ MeX 2001
会期:2001年8月〜11月(予定)
会場:アクシス・ギャラリー、日本工学院専門学校ほか
https://www.mex2001.net

Text: Andrew Thomas
Translation: Naoko Ikeno
Photos: Andrew Thomas

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