越後妻有アートトリエンナーレ 2000

HAPPENING

7月20日から9月10日までの53日間、日本で初めての試みである6つの市町村約762km2をキャンパスとした壮大なフェスティバル「越後妻有アートトリエンナーレ」が新潟で開催された。新潟越後妻有という大自然を舞台に、約150名にも及ぶ著名アーティストが「人間は自然に内包される」というテーマで、地域の人々と協力しながらフェスティバルを実現させた。まさにタイトル通り、人間は自然に包まれ、手を差し伸べられながら生きてきたことを体感できるフェスティバルとなった。


このフェスティバルの舞台となった新潟の妻有は、かつて絹織物産業で活性していた町だったが、多くの地方都市がそうであるように若者が都市へと流出し、村は過疎化と高齢化が進んでいった。そんな中、この地方の出身者でもある北川フラム氏(アートフロント代表)と地域住民が協力し、10 年計画の里創プランとして、今年の夏初めて、フェスティバルが開催されたのだ。
フェスティバルでは地域住民だけでなく、約700名にも及ぶボランティア活動グループが各地から集まるなど、村自体がとても活気に溢れていた。特にこの53日間は、エキシビジョン以外でも地域の祭りや行事、コンサートやイベントなどが開催されていたので妻有自体を楽しめたのではないだろうか。
また、この期間中に行きそびれた人でも今後も一年中楽しめる作品がいくつもあるので、興味を持たれた方は是非足を運んでみて欲しい。

まず最初に訪れたのが、このフィスティバルの中心となる十日町市。圏域の“顔”となるこの地域は、新たな都市軸として、地域の産業、文化、自然をつなぐコミュニティの中心となっていた。

この十日町の中の作品でも特に目立っていたのが、佐藤時啓の作品「三つの目が互い違いの風景を写し出す蛇行した空間」だ。これは旧式写真機の暗箱というシステムを用い、蛇行した建物の側面にレンズを取り付け、現実にはない光の立体を表現する作品。中に入ると、外界からは遮断され、まるで自分が四次元にいるかのような、また光と共存しているような気分になれる。

次にホセイン・ヴァラマネシュの作品「雪の記憶に」では、人間と自然の相互の関わりをテーマとし、人工物と自然界を一体化する環境をつくりだした。妻有を代表する樹木であるブナの林の中にあり、真っ白な梯子や家の形をしたオブジェが点在し、冬の厳しさや美しさを夏の今という全く違う風景の中で蘇らせている。この作品を見ていると、人間が造るものと自然はどこかで解け合っているのだという調和が感じ取られた。

また、ジャンミッシェル・アルべローラの作品「ABECEDAIRE」は“子供のためのユートピア”をコンセプトに独創的な言葉と赤やオレンジなどの強い色彩を組み合わせたポップなオブジェで、古い町並みの中にとても強い刺激を与えていた。

さらにとても興味をひいたのはユック・クンビョンの「TAF」(アイ・タクシー)。見るものを見られる瞳で逆転するというコンセプトのこの作品は、眼球をビデオに撮って流すというプロジェクトで、4台のタクシーに実際に搭載され運行されている。これをつかまえることができた人はラッキーかもしれない。私は結局実際に見ることはできなかった。

そして、公募からの出展となった伊藤嘉朗の作品「小さな家~聞き忘れのないように」では何気ない一本の木が彼には「何故かとても気になった」と、地面を掘り込んで造られた小さなスペースからはその木だけがこころおきなく見れるようになっている。

また、イ・ブルは六箇二ツ屋の池に「水の女神」を設置。これは「地上の滝で水浴をしている間に衣を盗まれ、天に戻れなくなってしまった」という韓国の民話に現れる「SUN-NYOH」という天の精霊をイメージしている。キラキラと光るビーズでできた衣はまるで天から舞い降りているような錯覚にとらわれるだろう。

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