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越後妻有アートトリエンナーレ 2000

HAPPENINGText: Yasmeen Ikeda

次に訪れたのは、日本三大渓谷の一つとして知られる清津海峡など、多くの名所がある中里村。ここでは、それぞれに違った大自然の空間を味わうことができた。


北山善夫「死者へ、生者へ」

その中でも特に賞賛されたのは北山善夫の「死者へ、生者へ」だ。今では廃校になった、中里村立清津狭小学校土倉分校を利用し、体育館では竹と色の紙片でできた大きなオブジェがあり、それに同調するように天井からは無数の天使の羽がついた小さな椅子が降りていた。二階の教室の黒板にはまだ言葉が残されていて、本棚には教科書がところ狭しと詰まれており、廊下にはまだ子供達が走り回っているような、自分の小学校時代を思い出させてくれるとても懐かしい気分に浸れるだろう。だがそんな学校の教室の中に、死についての新聞記事の切り抜きとその記事にあわせた絵が壁一面に貼られ、生と死の同化が見られる。ここで一気に現実的にこの小学校は学校としての機能をなくした事に気づくのだ。


岩崎永人「化石」

また岩崎永人の作品「化石」は、今では物置きとなっていた清津狭トンネル内に流木で造られた十数体の人形を配置。水に運ばれ、光や空気、風、塩、砂そして時間の経過などの自然現象の堆積のみによってつくりあげられた結晶としての流木が、トンネルの中で優雅でかつ深い静けさに包まれている。まるで何かを伝えるべく凛々と立ち、人と自然のつながり、不思議な自然のエネルギーを感じさせる作品だった。


リチャード・ウイルソン「日本に向けて北を定めよ」

そして現在ダイナミックなイギリスの現代アートでも知られるリチャード・ウイルソンの「日本に向けて北を定めよ」は、ロンドンにある彼の家の実物大の構造だけを、緯度と経度を基準に妻有の地に移動させた作品で、2つの異なる環境、文化、時空をつき抜けた空間として繋がっているのだ。

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