越後妻有アートトリエンナーレ 2000

HAPPENINGText: Yasmeen Ikeda


クー・ジュンガ「パンドラズホープ」

松之山の高原には、神経を集中させなければならないクー・ジュンガの作品「パンドラズホープ」があった。高原の三ケ所に約40cm立方の小さな家10軒を散りばめ、遠くから見るとそれが集落のように見えるというもので、訪れた人は実際の小さすぎる家がはっきりと見えないのでむず痒さを感じるかもしれない。だが彼女の考えは人間の五感以外で感じることにある。その場にオブジェがあり、それを眺めている。目には見えないが、そこには確かにオブジェがある。ただそれだけでいいのだ。現代には様々なアートがあるが彼女の発想は近代的な新しい展開だといえるだろう。


植松奎二「大地とともに~記憶の風景」

また、「すべては相互の関係において均等を保っている」というのが植松奎二の「大地とともに~記憶の風景」だ。白い花の咲く樹と荒々しく割り出された割石と大きな自然石の3つの要素で構成されていて、この中のどの一つでも欠けることのない緊迫したバランスをもとに人間と自然の関わり、大地の記憶、地球の記憶を表現している。


巻板雅文「悠久のいとなみ~THE ETERNAL」

そして、同じく自然と人間との関わり、周囲の環境との融合をテーマとして近年活動している巻板雅文の作品「悠久のいとなみ~THE ETERNAL」を高巌寺高原で見ることができた。まるで自然の入り口の門のようにそびえたつオブジェは、彼自身が長い里山生活から得た、彫り、走り、拾い、置くことを体得し、土、岩、水、気、空気と一体化させた作品だ。この作品のまわりに植物などが生えはじめると、また違った光景を楽しめることになるだろう。

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