越後妻有アートトリエンナーレ 2000

HAPPENINGText: Yasmeen Ikeda

今回のエキシビジョン中でも最も作品が多かった松代町では、大自然のふところで育んできた農耕文化で人々が築き上げた棚田、厳しい豪雪の中での暮しから学んだ文化というものを学習できる。


イリヤ&エミリア・カバコフ「米の実る里山の五つの彫刻」

厳しい雪国農耕文化にとても感動を受けたというイリヤ&エミリア・カバコフは棚田に稲作の主たる場面を選び「米の実る里山の五つの彫刻」と題し、5つの彫刻と5つのテキストにより、一年のローテションである、米粒捲き、田植え、除草、取り入れ、稲作の情景を伝えている。オブジェクトの手前のバルコニーに立ち、細いワイヤーで書かれたテキストを通しオブジェクトを眺めると、この地で育まれてきた雪国農耕文化を少しでも理解することが出来るだろう。


シモン・ビール「今を生きよ」

そんな厳しい冬の中にも楽しいことがある事を教えてくれるのはシモン・ビールの「今を生きよ」。冬の間に松代の子供達と作ったという6体の3つの玉で出来ている雪だるまが、冷凍庫の中で夏の間でも生きられるようになっている。それぞれに特長があり、可愛らしい服を着せられた子供や、ヒゲが生えたお父さんなど、それは妻有の6市町村が家族のように集まって、フェスティバル終了時に解けて大地に還ることを表している。


國安孝昌「棚守る竜神の御座」

また棚田の美しさに触発された國安孝昌の「棚守る竜神の御座」は、棚田を守る水神を竜にたとえ、丸太と陶ブロックを一ヶ月の間地元の方々とひたすら積み上げたという、とても巨大な物量感で圧倒されてしまう作品だ。

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