バーニングマン 1999

HAPPENING

炎に包まれる15mの巨体。裸を誇示して歩き回る男女。炎天下の砂漠に1万人以上の参加者。「No Spectators」という精神。「バーニングマン」は、ヒッピームーブメントを生み出したサンフランシスコが、レイブ全盛の90年代に再び生み出した、新しいフェスティバル、新しいカルチャーの形だ。


恐ろしく広大で虚無な砂漠に、イベントのシンボルとして「バーニングマン」という名の15mの高さを持つ木造の人形が作られる。参加者達はそれを半円状に取り囲む形で自由にキャンプをし、わずか1週間だけの新しい都市を作り上げ、自由にパフォーマンスやレイブを行うことができる。バーニングマンでは「No Spectators(観客はいない)」というのが合い言葉になっていて、すべての参加者はパフォーマーであると考えられている。そしてパフォーマンスは突然に、即興的に始まる。ここが、一般的なレイブの「パフォーマーとそれを見に来るお客さん」という形と決定的に違う部分であろう。参加者の全員が何をやってもよい自由を有しているのだ。



バーニングマンにはサンフランシスコのアンダーグラウンドカルチャーを支えている連中がこぞって参加しているために、すばらしいパフォーマンスも数多い。ペイントされた長さ50mの巨大な布を空中に掲げ、それを火炎放射器で一気に燃やすといった過激なパフォーマンスはバーニングマンならではのものだろう。全裸で歩くのが当然のこの場所で、体毛・陰毛専門だというバーバーショップには女性が列をなしていた。広大な会場を走る自転車はさまざまにデコレートされ、ソファの下にモーターとタイヤを仕込んだ「走るソファ」なんてものもあった。



今年はついに日本からもアートパフォーマンスを行うために参加した人がいた。利休の茶室を再現し、砂漠の中で「和」を貫くその姿は大変な喝采を浴びた。



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1986年に2人のアメリカ人が始めたこのイベントも、今では世界規模のフェスティバルとなってしまった。海外のメディアも毎年数多く訪れている。そんな中で、最近はイベントの質が落ちてしまったという声も多い。それは確かに自分自身参加していて感じるところでもある。しかし、「No Spectators」というバーニングマンの基本精神がなくならない限りは、まだまだ大丈夫だろう。



日が暮れると、会場のいたるところでネオンが輝きだし、本格的にパフォーマンスが始まりだす。ファイアーダンス、火炎放射器、卑猥な言葉をふんだんに使ったお芝居、ポルノムービーの上映会。ものすごい低周波の音がするので振り返ってみると、トレーラーの上で人工的に雷を作り出すパフォーマンスをしていたときには本気で驚いた。レイブだってもちろん行われる。満天の星空の下で踊っていると、真っ暗な地平線と星空が融合して、まるで宇宙で踊っているようだった。

そしてイベントの名前の通り、最終日には15mの高さのバーニングマンに火をつけて燃やしてしまうのだ。さすがにこれはヤバい光景で、炎に包まれたバーニングマンを囲んで、1万人以上の人間が最後のバカ騒ぎをして、わずか1週間のイベントは終了する。





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僕らは今、さまざまなレイブに参加することができる。東京では毎晩クラブは動いているし、野外のレイブだって毎週のようにどこかで行われている。しかしちょっと待てよ? いつからこういうスタイルになってしまったんだろう。僕らはお金を払うお客さんで、DJはモテる対象? 僕らも参加者であり、他の参加者とも自由にコミュニケーションをとって、みんなで楽しくやっていきたいと思わないか? 商業主義、という観点ではモードもロックもテクノも死んだ。では次の「Next One」はどこから生まれてくるのだろう? ひょっとしたらバーニングマンはその答えをもう生み出しているのかもしれない。

そんなことを砂漠の中で考えさせてくれるいいイベントだった。

Burning Man Project Official Site
www.burningman.com

Text and Photo: Yoshikazu Iyomasa
Also visit to Yoshikazu Iyomasa’s Burning Man web site.

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