柚木沙弥郎 永遠のいま

HAPPENINGText: Alma Reyes

1章の展示室で、まず目に入るのは、天井や壁に吊り下げられた巨大な染色作品だ。これらは、型染と注染の両方の技法を用いて制作されている。テキスタイルには、青、黒、赤、緑、茶色といった力強い色調で、幾何学模様、ロマネスク様式、自然のモチーフが表現されている。


柚木沙弥郎《幕》1961年 坂本善三美術館蔵

《幕》(1961年)は、抽象的構成が特徴であり、柚木の最も壮大な染色作品の一つである。他の染色作品では、鮮やかな赤色の背景に、鳥の群れ、複数の手、人物の姿、そして打ち寄せる波が、あたかも布の外に飛び出しているかのように、優雅でリズミカルな連なりで描かれている。


柚木沙弥郎 左:《注染ロマネスク文布》(部分) 1959年 / 中:《注染幾何文布》(部分) 1950年代 / 右:《注染幾何文布》(部分) 1980年代 日本民藝館蔵 撮影:村林千賀子

柚木は注染において、もともと手ぬぐいなど小幅の布に用いられていた技術を、広幅の布地へと応用することに成功した。大きなモチーフを布に施し、型紙を用いて糊を接着しながら布を折りたたむ。その後、染料を布に注ぐと、糊付けされた部分は染まらずに残され、糊が取り除かれるとデザインが現れる。この工程では、太い糸を使った厚い生地や、向こうが透ける薄い生地で注染を行うことにも挑戦。これらの技術で柚木は、生活の洋風化にも対応できる染めものを展開した。


柚木沙弥郎 左:《型染大空文着物》1976年 / 右:《型染着物「万物迎春」 》1968年頃 個人蔵 撮影:Alma Reyes

着物の作品には、黒に映える空や春の模様や、明るい赤やピンク、黄色の花柄で鮮やかに表現されており、柚木の着物制作への深い関心を証明している。柚木は、20世紀半ばに活動した進歩的な日本の若手染色家と職人のグループである萠木会もえぎかいのメンバーでもあり、「萠木会新作着物展」に自身の作品を出品したこともあった。

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