FIAC 2007
HAPPENINGText: Kana Sunayama
パリの現代アート界にとって、秋とは「食欲の秋」でも「読書の秋」でもこれまた「芸術の秋」でもなく、「アート売買の秋」である。なぜなら秋は、FIACの季節であるから。
Peter Halley
グランパレの大改装のため12年間もブランリー河岸のテントの下や、パリ南部のポルト・ド・ヴェルサイユに位置する展示会場で行われていたFIACだが、パリ中心のグランパレとクール・カレ・ド・ルーブルに移動してきて2年目を迎えた今年は、フランスの公共交通機関のストライキまっただ中に開催されることとなった。
2004年からアーティスティック・ディレクターをつとめるジェニファー・フレイと2005年からコミッショナーに任命されたマルタン・ベトゥノを筆頭に、去年からグランパレを会場として獲得し、FIACの世界におけるアートフェアとしての地位はより向上し、確実なものになってきた。
In Situ
FIACとは、Foire Internationalle d’Art Contemporainの頭文字をとった略で、日本語に訳せば「国際現代アートフェア」と言ったところか。ヨーロッパの現代アートフェアでは、ロンドンのフリーズに続き、レベルの高いフェアとして名高い。
特に、世界の23カ国からやってきた179を数える参加ギャラリーのうち、42%だけがフランスのギャラリーにとどまった今年のFIACは、各ブース、各作品ともに、フリーズよりも質が良く素晴らしいフェアであったと、現代アート界が声をそろえて絶賛した評価であった。
Grand Palais
今年のグランパレのブースは近年の、写真やインスタレーション、ビデオ作品のみに偏ったアートフェアとは異なり、絵画、彫刻、写真、インスタレーション、ドローイング、ビデオなどの現代アートにおける各媒体による作品がバランスよく展示されていた。
AES+F
今年のヴェネツィア・ビエンナーレでロシア館を代表する作家の一組であったAES+Fのビデオとサウンド、そして写真から構成されるインスタレーション・ブースで挑んだギャラリー、マルコ・ノワールは目を引いた。
Xavier Hufkins
またところどころのブースで出会う、 ピーター・ハリーや、ダニエル・ビュレン、アルマンなどの大御所現代アーティストたちの各作品も、ただ著名な作家の作品が寄せ集められたという感じではなく、それぞれ質の良いものが展示されていた。
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