マシン・ラブ:ビデオゲーム、AIと現代アート

HAPPENINGText: Alma Reyes

インタラクティブな参加型作品としては、ドイツ系アメリカ人アーティスト、ディムートの《総合的実体への3つのアプローチ》(2025年)と《エル・トゥルコ/リビングシアター》(2024年)がある。前者はAIと人間が対話し、後者はAIマシン同士が議論する作品だ。アバターは架空の人物や歴史上の人物と同一視され、一種の「手品」によって操られながらも、その知識と知性は印象的で魅せられるものがある。アバターのうち1体は、実はシステムに隠れた人間がリアルタイムで直接操作している。もうひとつのアバターはGPT4マシンによってコントロールされている。


ディムート《エル・トゥルコ》(イメージ図)2024年、AIインスタレーション テクニカル・コラボレーション:ジョージア工科大学、ノースイースタン大学、ユタ大学 制作協力:アンソロピック

展示の最後を飾るのは、全長24メートルを超える呪術的な巨大装置だ。オーストラリアのAI研究者ケイト・クロフォードとセルビアの技術研究者ヴラダン・ヨレルによる《帝国の計算:テクノロジーと権力の系譜 1500年以降》(2023年)は、5世紀にわたる技術的・社会的構造の進化を推測する軌跡を考案した。驚くべきほど詳細に埋め尽くされたこのマッピングは、思想の歴史、インフラ、権力システム、植民地主義の形跡によって近代から現代への移行を表現する作品となっている。縦軸は時間を示し、横軸はアルゴリズム、建築、国境を示している。


ケイト・クロフォード、ヴラダン・ヨレル《帝国の計算:テクノロジーと権力の系譜 1500年以降》2023年 展示風景:「帝国の計算:テクノロジーと権力の系譜 1500-2025年」プラダ財団オッセルヴァトリオ(イタリア、ミラノ)、2023-2024年 Photo: Piercarlo Quecchia – DSL Studio, Photo courtesy: Fondazione Prada

この展示を後にするとき、私たちの生活がいかに機械的で機械に支配されたものになっているのかという深い謎と同時に不安な気持ちにもさせられることであろう。「人間であることとはどういうことか?」「意識と現実とは何か?」という深遠な疑問に対して私たちはまだ答えを出せていない。

マシン・ラブ:ビデオゲーム、AIと現代アート
会期:2025年2月13日(木)〜6月8日(日)
開館時間:10:00~22:00(火曜日は17:00まで。但し4月29日(祝)、5月6日(休)は除く)
     ※3月20日(木・祝)は17:00まで
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53F
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://www.mori.art.museum

Text: Alma Reyes
Translation: Trois Ono
Photos: Courtesy of Mori Art Museum, Tokyo

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