デザイナート トーキョー 2024
HAPPENINGText: Taketo Oguchi
デザイナート トーキョーのメインエリアである表参道・青山・外苑前周辺エリアでは数多くの展示が行われていた。表参道の複合商業ビル、ジャイルの4階では、空間の総合プロデュース企業・乃村工藝社による、人と物との関係性について再考するプロジェクト「Being 家具が居ること」が開催。家具が“ある”から“居る”という存在に変わったら、私たちはどのようにそれ(彼)らと接するのか。人と物の間の価値変容を、一連の実験的デザインによって社会に問いかける。
乃村工藝社「Being 家具が居ること」(ジャイル)© Nacása & Partners
同ビル地下1階の、HAY TOKYOでは、「曖昧な不正確さ」をテーマにした企画展「Unprecise(アンプリサイス)」が開催。グラフィックデザイナーであり、またアートディレクターとしても活躍する田部井美奈を迎え、「未完成」をテーマに、デザインとして未だ定まっていない複数のイメージを幾重にも重ねることで、流動的なグラフィックを店内に表現。空間アドバイザーは建築家・ミュージアムデザイナーの中原崇志が務めた。また、同施設内のCIBONEでは、「ICONS by CIBONE」が開催。ピート・ヘイン・イーク、カスパー・キスター、NM3、ヴァールニー、テウン・ズヴェッツらCIBONEゆかりの8組のデザイナーたちを、チェアやスツールといった “ICONS” とともに紹介。
「Unprecise」(HAY TOKYO)
南青山のリノベる。b1.では、普段は企業でプロダクトデザイナーとして働く、福島拓真、品川及、笠松祥平、前田怜右馬による ノーマディック・コレクティブ による展覧会「Things with dialogue」が開催。リノベーションを提供する会社リノベるのオフィスの地下にある「b1.」は、デザインとモノづくりを探求する場。「時を超えて愛されるものづくり」、「長く大切に使い続ける豊かさ」を探求するリノベるのモットーに、生活において対話を生み出し、長く愛されるデザインを目指すコレクティブの作品が共鳴していた。
Nomadic Collective「Things with dialogue」(リノベる。b1.)© KOHEI YAMAMOTO
ブランド品・貴金属・骨董品などの様々な商材のリユース事業を行っているバリュエンスジャパンと東京造形大学造形学部・玉川大学芸術学部の学生・廃棄品や廃材を作品素材に活用している作家による展覧会「Antique Upcycle Project」が、ALLU表参道で開催。本展では、バリュエンスグループが掲げる目標「地球、そして私たちのために循環をデザインする」への回答を、モノづくりの世界に羽ばたく学生と共にアート作品を制作するという形で発表。自社ショップで扱うアンティーク商材をクリエイターが「アップサイクル」することで、1点物のアート作品へと変換され、新たな価値を生み出すという意欲的なプロジェクトだ。
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