生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界
HAPPENINGText: Alma Reyes
夢二はグラフィックデザイナーの草分けとしても活躍し、本や雑誌の装丁、衣服や雑貨などのデザインを手がけ、暮らしの中の美を追い求めた。1920年代、写真製版や印刷技術の進歩に伴い、多くのグラフィック雑誌が創刊された。1924年に創刊された「婦人グラフ」もそのひとつ。
竹久夢二《化粧の秋(雑誌『婦人グラフ』第1巻第6号 表紙)》1924(大正13)年、紙に木版、夢二郷土美術館蔵
《化粧の秋》(1924年)は、夢二が「婦人グラフ」のために描いた現代女性の例の一つである。封筒のデザイン《どくだみ》《つりがね草》《菜の花》(1912-1926年)、《夢二画集》(1914年)、《セノオ楽譜〈恨まじ君をば〉》(1924年)など、カラフルな構図が楽しい。
竹久夢二《セノオ楽譜〈恨まじ君をば〉No. 384》1924(大正13)年 初版、夢二郷土美術館蔵
夢二は、1912年には京都府立図書館で初の展覧会を開催。油彩、日本画、水彩、ペン画など約137点を展示し、大成功を収めた。その後、1918年には同図書館で、1919年には福島県会議事堂で個展が開催されている。
展示風景より、竹久夢二《封筒「どくだみ」》/《封筒「つりがね草」》/《封筒「菜の花」》1912-1926年(大正期)、夢二郷土美術館蔵 Photo: Alma Reyes
会場では、現在、夢二生家記念館となっているかつての夢二の自宅と、瀬戸内市にある夢二のアトリエ兼邸宅「少年山荘」(復元)を映像で観ることができる。夢二自身が設計した緑と白の荘厳な和洋折衷のアトリエには、夢二の生涯と仕事に関する様々な記念品が展示されている。少年山荘という名前は、文字通り「少年時代の別荘」を意味し、夢二が国内外を旅する合間に頻繁に訪れていた。
1914年、夢二は自らデザインした封筒や千代紙をはじめとする文具・小間物類を販売する「港屋絵草紙店」を開店。商品の広告チラシには「可愛い」という言葉が用いられ、当時の女性たちの心をつかみ、憧れの的となった。夢二のデザインは時代を経ても色褪せず、没後90年を経た今もなお多くの人々を魅了し続けている。
生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界
会期:2024年6月1日(土)〜8月25日(日)
開館時間:10:00〜18:00(7月19日から毎週金曜日は21:00まで開館、入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(ただし7月15日(月・祝)、8月12日(月・祝)は開館、7月16日(火)、8月13日(火)は休館)
会場:東京都庭園美術館
住所:東京都港区白金台5-21-9
TEL:050-5541-8600( ハローダイヤル)
https://www.teien-art-museum.ne.jp
Text: Alma Reyes
Translation: Saya Regalado
Photos: Courtesy of the Yumeji Art Museum
