ワツラフ・ニジンスキー回顧展
HAPPENINGText: Aki Ikemura
オルセー美術館では、ワツラフ・ニジンスキーの回顧展「Nijinsky (1889-1950)」が開催されている。前世紀初頭に活躍した前衛ダンスのシンボルともいえるロシア人ダンサー、ワツラフ・ニジンスキー。伝説ともいうべき彼の作品は、フィルムアーカイブがなく、幻想的な写真、振り付けに関するノート(しかし、彼は亡くなる前にその解読方法のカギを残さなかった)によってのみ後世に伝えられた。
彼の個性的な世界、代表作の一つ「牧神の午後」に見られる彼の姿こそ、彼自身そのものをあらわしているように思う。彼はダンサーを越えたアーティストだった。
展覧会の間の週末には、彼の振り付けの再現・分析をパリオペラ座のダンサーをモデルにして行われた。「牧神の午後」を見ることは私にとって、15年来の夢だった。しかし、モデルの若いダンサーはとても人間っぽい人だったのでニンフにはほど遠く、ニジンスキーのイメージを壊されてしまった。ニジンスキーは現在残っている写真の中に見られるような幻想の中にのみ存在するような、「実在したニンフ」であり、それを彼以外の、ある一人のダンサーによって再現することなど所詮不可能なのだということなのだろうか。
Nijinsky (1889-1950)
会期:2000年10月23日(月)〜2001年2月18日(日)
会場:Musee d’Orsay
住所:62 rue de Lille, 75343 Paris
TEL:+33 1 4049 4834
https://www.musee-orsay.fr
Text: Aki Ikemura
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