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「それは知っている:形が精神になるとき」

HAPPENINGText: Alma Reyes

展示室「泣き笑いの知性」では、笑いや悲しみといった人間の感情を解釈した絵画、映像、インスタレーションを紹介。招へい作家の松田将英による《The Big Flat Now》(2022年)は、ソーシャルメディアの「泣き笑い」の絵文字を描いた巨大なバルーンで、展示室全体をほぼ独占している。トニー・アウスラーの《ピンク》(2003年)と《エッロ》(2003年)では、2人の人間の顔が、動く目玉と口、ウインクする目、おしゃべりする声によってユーモラスに視覚化されている。前者の顔はカエルの形をした頭に重ねられ、後者の顔はデフォルメされ、丸く白い塊の上に投影されている。フェデリコ・エレロや小西紀行は、鮮やかな筆致と色彩で人間の表情を描き出している。


松田将英《The Big Flat Now》2022年, Photo: Alma Reyes

展示室外では、メキシコ人アーティスト、ペドロ・レイエスによる「人々の国際連合 武装解除時計」(2013年)を紹介。これは不法所持者から回収された銃を再利用して楽器にし、時計を組み込んだ作品で、15分ごとにパーカッションのような金属音が鳴り響き、メキシコで蔓延する銃乱射事件について警鐘を鳴らす。レイエスは、芸術活動による対話を通して人類が抱える危機を解決する道を模索するプロジェクト「人々のための国際連合」(pUN)プロジェクトを行っている。


ペドロ・レイエス 《人々の国際連合 武装解除時計》2013年 金沢21世紀美術館蔵 © Pedro Reyes, Photo: Alma Reyes

本展は、展示された様々な作品を通して日常生活における「形」と「精神」の関係について、私たちの思考に深い活力を与えてくれる。また、奈良美智の《Dog-o-rama》をはじめ《Lonely Moon/Voyage of the Moon》、そして収蔵後初めての展示となるドローイング群を紹介する、もうひとつの特別コレクション展は、9月18日まで開催中。

金沢21世紀美術館「コレクション展1 それは知っている:形が精神になるとき」
会期:2023年4月8日(土)〜11月5日(日)
開館時間:10:00〜18:00(金・土曜日20:00まで)
休館日:月曜日(但し9月18日、10月9日・30日は開場)、9月19日、10月10日・31日
会場:金沢21世紀美術館
住所:石川県金沢市広坂1-2-1
TEL:076-220-2800(代表)
https://www.kanazawa21.jp

Text: Alma Reyes
Translation: Saya Regalado

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