サウンド・フォレスト・フェスティバル 2019
HAPPENINGText: Victor Moreno
実験音楽と現代音楽は万人向けではない。だからこそ音楽やアートの会場は限られた予算の中で、参加者のためにひらけた、効果的な方法で企画する必要がある。ラトビアのリガで開催されたサウンド・フォレスト・フェスティバルのディレクターであるリハルズ・T・エンドリソンズとヴィエスターツ・ガイリティスはこのことをよく知っている。
驚いたことに17回目となる今年は、プログラミングによるサウンドも取り入れることによって、より難しい現代音楽のセレクションへと境界を押し広げることにした。嬉しいことに、観客たちもそれを待ち望んでいたのだ。これまでは実際にイベントに足を運んでもらうことが、音楽イベントのブランドとしての認知度を高める唯一の方法だったが、今回はイベントコンセプトが人々に強い信頼を与え、観客にとって新鮮なパフォーマンスがより多くの来場者を惹きつけた。
約2,000人が二晩を楽しんだ。長年にわたり、このイベントは観客だけでなくアーティスト同士の口コミでも評判となり、多くの現代音楽のアーティストや前衛的な作曲家たちが出演を望む程の人気だ。スワンズのマイケル・ジラ、ウルフ・アイズの元メンバー、アーロン・ディロウェイ、 マノンマーズ、アルバン・ルシエ、ルーシー・レイルトン、パテン、テレンス・ディクソン他豪華なアーティストが今年のフェスティバルを盛り上げた。
© Arturs Pavlovs
新しく改装された古く美しい駅ハンス・ペロンでフェスティバルが開催されるのは今回が初めて。『音楽はすでに殺伐としているので、少なくとも会場の雰囲気は快適なものにしようと話していました』とディレクターたちは語る。コンサートホールのステージでは、19人のアーティストが約45分間ずつの公演を行った。
『過去10年間のどの年よりも多くのチケットを販売しました。より大きな会場に移動するのはある意味自然なことだったのでしょう。観客はホールの外でも交流したいと思いますが、これまでの会場では、肘と肘とがぶつかるような狭さで、そのようなスペースがありませんでした。ここではゆっくりと息ができるような十分なスペースを確保できるので、ずっといいです。』とエンドリソンズが話し、ガイリティスがこうまとめた。『常に新しい会場を探していました。最初に見つけたのは古い工場でしたが、10月には会場が冷え切ってしまうことや音響面や安全性の問題があったため、より快適な会場で開催することにしました。街の主要な場所からは少し移動した川の反対側で開催するこのイベントは、皆さんにより近い距離感で開催できたと思います。』
続きを読む ...