OPERA (QM.15) (2016), Dominique Gonzalez-Foerster, Paris and Rio de Janeiro, Courtesy the artist and Esther Schipper, Berlin

展覧会場の最上階に、《オペラ（QM.15）》（2006年）というホログラムのソプラノ歌手が、歌う作品がある。少し離れた廊下の端で赤い3D映像がアリアを奏でている。この冷たく、見捨てられたような空間は、作品の展示には最適であり、おどろおどろしい雰囲気と現代アートのコンセプトを同時に与えてくれる。

m.A.A.d. (2014), Kahlil Joseph, Los Angeles. Photo: Coco Liu

２つの映像を同時に映す作品が、コンプトンという都市でのアフリカ系アメリカ人の生活について伝える。自由の国が非白人の人々のコミュニティをどう扱うのかを明らかにするアメリカ人のシンガー、ケンドリック・ラマーによる「m.A.A.d.シティ」に応える形で制作された。映画や音楽の中の彼らの生活には、警察の暴力や死のシーンなどは登場しないが、このアート作品も同様だ。警察と黒人市民の間の闘争、路上のバットのように逆さになったり、シンガーが踊っている様子、そして学校や家などコミュニティの別の面を捉えた映像を組み合わせて制作されている。たとえ他の黒人アーティストのミュージックビデオと大きな違いがないとしても、この作品のテクスト間の相互関連は素晴らしい。短編映画ではなく、ライフスタイルを記録したミュージックビデオなのだ。

この異文化間の展覧会に登場する10の異なる次元のアートは、主に視覚的なコラージュと共に現代的な方法でアートを創造するために新しいメディアを使用する。観覧者は、どの作品に対しても自由に解釈する権利があるが、通常使用されるような白壁ではなく、全体を黒壁で覆われた空間での上映は、ギャラリー全体がポストモダンなストリート・アートと共に不完全な外観を残しており、作品と建物との会話が、作品の背景にある意味をさらに完全なものにしている。

The Infinite Mix: Contemporary Sound and Image
会期：2016年9月9日（金）～12月11日
（日）
会場：The Store

住所：180 The Strand, London, WC2R 1EA

入場無料
https://www.theinfinitemix.com