「トーキョー:見えない都市を見せる」展
現実的で本質を突いていたのは、ホンマタカシのキュレーションによる「何かが起こる前夜としての東京」だ。特にトーマス・デマンドの《制御室》は一見、無作為でアーティスティックな写真だが、見れば見るほど不穏で本当に「何か起こる」のではないかと恐怖感に駆られる。《国立競技場予定地》の写真も貴重な一枚だ。先日ようやく建設計画が決まった新国立競技場。まさに「何かが起こる」前の東京の姿である。
トーマス・デマンド《制御室》2011年,「東京アートミーティング VI “TOKYO” ー見えない都市を見せる」2015-2016年 © Thomas Demand, VG Build-Kunst, Bonn/JASPAR, Tokyo, 東京都現代美術館蔵
若く情熱的なキュレーションユニットEBM(T)(ナイル・ケティング+松本望睦)は、「ポスト・インターネット世代の感性」というテーマで、同世代のアーティストをキュレーションした。なかでも、アメリカのテイバー・ロバックの《20XX》は未来の東京を映像で表現している。
テイバー・ロバック《20XX》2013年,「東京アートミーティング VI “TOKYO” ー見えない都市を見せる」2015-2016年, Courtesy: the artist and Team Gallery
SF映画に出てきそうな画だが、世界各地の有名な高層ビルや様々な企業のロゴマークをいくつも合成して創られている。とても不気味で、絶望的な「トーキョー」の光景だ。『“根拠の無い希望や絶望”、“あいまいな不安感”が作品に立ち現れるのではないか』と語るEBM(T)のキュレーションエリアは確かに、現在に漂う同時代的な空気感を表していた。
様々なクリエイターが想う「トーキョー」のカタチ。作品を通して見えてくる「トーキョー」、理解不能で不可思議なモノも含め「これがトーキョーだ」という膨大なメッセージだったのかもしれない。
東京アートミーティング VI “TOKYO” ー見えない都市を見せる
会期:2015年11月7日(土)〜2016年2月14日(日)
時間:10:00〜18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜日、年末年始
会場:東京都現代美術館 企画展示室1階、3階
住所:東京都江東区三好4-1-1
TEL:03-5245-4111
https://www.mot-art-museum.jp
Text: Yasuharu Motomiya
