六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2014
HAPPENINGText: Namie Kuwata
今年で5回目を迎えた「六甲ミーツ・アート 芸術散歩2014」。神戸の六甲山上にある様々な施設を会場に総勢42組のアーティストが参加。絵画や彫刻などの作品展示・パフォーマンス及びワークショップが展開された。
毎年このシーズン、ピクニック気分で六甲山を周遊しながら、初秋から晩秋にかけての豊かな自然と優れたアート作品を同時に楽しめる。特にこの季節は深まる秋と共に進んで行く紅葉や落葉が美しく、屋外に展示された作品の見え方も日々変化していく。六甲山の恵まれた自然の中で、各作家がそれぞれの環境を最大限に活かし、美術館での展示とは全く違った展開を見せてくれる。
招待作家と公募作家で構成された全展示作品を対象に、来場者の人気投票で選出する「六甲ミーツ・アート大賞」を設けており、今年のグランプリは三宅信太郎の「山頂の街」が選ばれた。
「山頂の街」は作家が自らを「Mr.ブルームーン」として、ライブペインティングとライブビルディングで“開拓”を進めていく作品。明治時代に六甲山を開発したグルーム氏に倣い、Mr.ブルームーンの被り物姿で新しい街が制作された。会期中の3ヶ月間、作家が滞在制作を行い、作品制作の過程に立ち会えるという楽しみもあり、多くの来場者の支持を得た。
準グランプリには佐川好弘「胸の土器土器」。太古の時代から現代までのコミュニケーションの進化をモチーフにした作品。ユーモアとキャッチーさを備え、野外展示ならではの体感型の立体造形作品が選ばれた。
第3位には西山美なコ「~melting dream~」。ガラスハウスの中に広がる鮮やかな無数の砂糖菓子の薔薇たちが時間と共に変化して行く作品。ガラス張りの空間の中の甘い香りと華やかな色合い、その周りを囲む林のギャップが印象に残る。
他にも鴻池朋子の新作「Where The Wild Things Are」や立体作品「インタートラベラー」、そして映像2作品。林の中に張り巡らせた淺井裕介の「しっぽの森」、加藤泉の立体作品、太田三郎の「六甲ブックカフェ」や金氏徹平の「White Discharge (Figure)」など。そして特別展示として不慮の事故により亡くなられた國府理作品など。
「アート作品を通じて六甲を五感で楽しむ」というコンセプト通りの盛り沢山の内容であった。展示内容もボリュームもバランスが良く、次回も楽しみだ。
六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2014
会期:2014年9月13日(土)~11月24日(月・休)
会場:六甲ガーデンテラス、自然体感展望台 六甲枝垂れ、六甲山カンツリーハウス、六甲高山植物園、六甲オルゴールミュージアム、六甲山ホテル、六甲ケーブル、天覧台、六甲有馬ロープウェー(六甲山頂駅)
https://www.rokkosan.com/art2014/
Text: Namie Kuwata