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伊賀信個展「ドット・ストライプ・クロス」

HAPPENINGText: Ayumi Yakura

伊賀はより大きな作品を発表する場を求めていると言うが、もしもこれらの作品が、実存する巨大な建築物や、眼前に立ちはだかる壁や柱、俯瞰した公園のジオラマだとしたら…と想像してほしい。

思えば私たちが生活する都市も、高所から見下ろせばドット・ストライプ・クロスの連続により構成されている。特に札幌は、市街地が碁盤の目状に区画された、いわば幾何学的造形都市だ。そんな視点で伊賀作品を鑑賞した後には、見慣れた街並みもテーマパークに見えるかもしれない。

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自然界においても、分子構造や氷の結晶などミクロの世界から、遠くに見渡す山並みなどのマクロの世界まで、幾何学的な造形が無数に存在している。ミートラウンジで壁一列に並んだ白色の4作品「ストライプ No.1〜4」からは、長方形の規格内に収められたシンプルな線の連続から、見渡す限りに広がる草原や、視界を覆う竹林、古代から重なる地層の断面など、具象を削ぎ落した抽象的な表現であるからこそ、時と自然が織りなす果てしない情景を想起させる。

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伊賀自身も「作品の先に風景や物語を感じる。」との感想がこれまでで最高の褒め言葉だと言うが、北海道新聞社の取材に「自分のつくる幾何学模様は完全じゃない。自然がつくり出す美しさに少しでも近づきたい。」との目標を語っており、幾何学的造形からなる心地良い形の創作実験はこれからも続いていくだろう。

最後に「長年、創作活動を続けてきた中で、伊賀さんの支えになったものは何ですか?」とメールで問いかけると、『なかなか辿り着けない目標』との返信があり、ストイックな作家性の奥にどこか作品と似た心地良さを感じた。

同時開催されているフォルクスワーゲン札幌東ショールームの「伊賀信展」は、クロスホテル札幌がプロデュース、クラークギャラリー+SHIFTがキュレーションを担当し、まちなかアートの協力を得て、10月下旬頃まで続く予定だ。ぜひそちらへも足を運んでほしい。

伊賀信 個展「DOT・STRIPE・CROSS」
会期:2014年9月3日(水)~11月28日(金)
会場:クロスホテル札幌
住所:札幌市中央区北2西2
主催:クロスホテル札幌(企画課 011-272-0051)
キュレーション:クラークギャラリー+SHIFT
協力:ハナアグラ、まちなかアート
https://crossmet.jp/sapporo/

Text: Ayumi Yakura
Photos: Yoshisato Komaki

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