稲葉英樹展「VECTA」

HAPPENINGText: Satsuki Miyanishi

クロスホテル札幌にて、クラークギャラリー+SHIFT取扱作家・稲葉英樹の展覧会「VECTA」(ヴェクタ)が開催されている。この展覧会は、まちなかアート・クロス・エディションとして、SHIFTがキュレーションを担当する第9弾。まちなかアートは、街中にアートが溢れ、気軽に楽しめる環境づくりを目指すプロジェクトでギャラリー、作家、店舗が一体となり、アートのある日常をつくるというもの。

稲葉英樹展「VECTA」
Untitled, 2012, 900 x 900 mm, Giclee Printing with Acrylic Mount

稲葉英樹は、90年代後半より活動を始め、2004年にグラフィックアートシリーズ「NEWLINE」を発表後、国内外で展覧会を開催してきた。2011年よりエスパス ルイ・ヴィトン東京の為のグラフィックアートも手掛けている。今回の展示のタイトル「VECTA」は、札幌から始めるこのプロジェクトが、次なる「新(たな方向)」を模索する試みとなるよう付けられた。札幌での展覧会は2004年にSOSOで行われたNEWLINE展以来となる。

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Vecta Newline, 2013, 867 x 800 mm, Giclee Printing on Matt Paper

フロント横に展示された、今回の展覧会のメインビジュアルともなっている作品「VECTA – NEWLINE」は、SOSOで初めて発表した「NEWLINE」(ニューライン)の進化系。文字通り「新しい線」を意味する「NEWLINE」は、コンピュータ用語で、「改行」を意味する制御コードからきている。ディスプレイやプリンタなどの出力装置がこのコードを発見すると、次の行の先頭にその出力位置を移動させる。新しい路線、新たな始まりを意味する作品だ。もともと理工学部の図面描きであった稲葉が最も惹かれる形であり、コミュニケーションの方法であったという。

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Vecta Grid, 2013, 300 x 300 mm, Giclee Printing on Matt Paper

ミートラウンジに展示されている6つの新作「VECTA GRID」。こちらもあらゆる造形の基本構成要素であり、それらの基礎設計として、改行し、次なる方向・新線へという意味が込められている。複雑なラインや、配列から描かれた作品は見る者の想像を掻き立てるが、「Untitled」(無題)の作品が多いのも、面白味の一つだ。

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